ヒトサイトメガロウイルスを用いた過酢酸のウイルスゲノムに対する抑制効果の検討

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タイトル別名
  • Virucidal Efficacy of Peracetic Acid against Human Cytomegalovirus
  • ヒトサイトメガロウイルス オ モチイタ カサクサン ノ ウイルスゲノム ニ タイスル ヨクセイ コウカ ノ ケントウ

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抄録

医療用器具の高度消毒薬である過酢酸 (PA) について, サイトメガロウイルス (CMV) を用いたウイルスゲノムに対する抑制効果を検討した.<BR>0.3%PA (実用濃度) と感染価105 TCID50/mLのCMV (AD169実験株) 懸濁液を等量作用させ, 時間経過による細胞変性効果 (CPE) の有無を観察した. その結果, 30分後の感染価は101.69TCID50/mLを示し, 初期感染価に対し103.31 TCID50/mLの減少が認められた.<BR>次に, CPEの観察で用いたPAおよびCMV作用液からDNAを抽出し, 定性PCR法およびReal-Time PCR法により特異領域のPCR産物を検出した.定性PCRにおけるウイルス初期濃度時のPCR産物に対し, 742bpサイズの増幅領域では30分後に50%, 2,952bpサイズの増幅領域では10分後に100%, それぞれ消失が認められた.Real-Time PCRにおけるCMV懸濁液に対し, 1,000倍量の0.3%PAを作用させた結果, 5分後にCMV-DNA量が検出限界以下を示した.しかし, 同じ割合で作用させた2%グルタラール (GA) では, 時間経過やCMV濃度に依存することなくCMV-DNA量が残存した.<BR>以上より, PAはGAに比べ短時間でCMVゲノム破壊作用が示され, ウイルスゲノムに対して抑制効果があることが認められた.

収録刊行物

  • 環境感染

    環境感染 19 (4), 441-446, 2004

    日本環境感染学会

参考文献 (16)*注記

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