長期授乳婦の骨密度に及ぼすカルシウム摂取量増大の効果および長期授乳後の骨密度の回復

• 米山 京子

  奈良教育大学教育学部生活科学教育講座

• 池田 順子

  京都文教短期大学家政学部

書誌事項

タイトル別名

• THE EFFECTS OF INCREASED DIETARY CALCIUM INTAKE ON BONE MINERAL DENSITY IN LONG-TERM LACTATING WOMEN, AND RECOVERY OF BONE LOSS CAUSED BY LONG-TERM LACTATION WITH LOW CALCIUM DIET
• チョウキ ジュニュウフ ノ コツミツド ニ オヨボス カルシウム セッシュリョウ ゾウダイ ノ コウカ オヨビ チョウキ ジュニュウ ゴ ノ コツミツド ノ カイフク

抄録

目的 食事からのカルシウム（Ca）摂取量の増大は長期授乳婦の骨密度低下を阻止し得るか，また，長期授乳により低下した骨密度の回復について，骨代謝を考慮して検討する。<br/>方法 1 年間以上の授乳婦について，授乳中の Ca 摂取量を食事指導により増大させた群（M 群）と授乳中に乳・乳製品を殆ど摂取しなかった群（N 群），および非授乳群（C 群）について，超音波法による骨密度測定および尿，血液（M, C 群のみ）中の骨代謝指標の測定を出産後 1～12週に開始し，その後半年に 1 回の頻度で最長 2 年間追跡測定，それらの変化を 3 群または 2 群間で比較検討した。<br/>結果 1. M 群の Ca 摂取量は平均1,032 mg/日で，日本人の授乳婦の栄養所要量に較べ幾分少なかった。<br/> 2. 骨密度変化のパターンは 3 群間で有意に異なり，1 年後に N 群では有意に低下（−8.0%），C 群では有意に上昇したが，M 群では有意な変化は認められなかった。開始時の骨密度値および出産回数を考慮して，1 年後の骨密度変化率は 3 群間および M, N 群間で有意であった。<br/> 3. 1 年半後の骨密度変化率は 3 群間で有意差は認められなかった。<br/> 4. M 群では開始時および半年後の尿中 Hydroxyproline/Creatinine は N 群より有意に低く，1 年後の尿中 Calcium/Creatinine は有意に高かったが，C 群とは両指標とも有意差は認められなかった。<br/> 5. M 群では 1 年後までの血清中 Bone alkaline phosphatase は C 群の半年後の値に較べ有意に高く，1 年後までの Osteocalcin も高い傾向であった。<br/>結論 授乳に対して Ca 摂取量が充足されれば，1 年以上の長期授乳でも骨密度低下はみられない。長期授乳により骨密度が低下した場合も平均的には離乳後半年で開始時まで回復するが，授乳期間中の骨密度の極端な低下は母児双方にとって好ましくない。

収録刊行物

• 日本公衆衛生雑誌

  日本公衆衛生雑誌 51 (12), 1008-1017, 2004

  日本公衆衛生学会

キーワード

• 授乳
• 長期授乳
• 骨密度
• カルシウム栄養
• 超音波骨密度測定
• 骨粗鬆症

詳細情報

• CRID: 1390282680481893760
• NII論文ID: 10014071935
• NII書誌ID: AN00189323
• DOI: 10.11236/jph.51.12_1008
• COI: 1:CAS:528:DC%2BD2MXislKqsb8%3D
• ISSN: 21878986
• ISSN: 05461766
• NDL書誌ID: 7213376
• PubMed: 15682820
• Web Site: http://hdl.handle.net/10105/589
• Web Site: https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R000000004-I7213376
• Web Site: https://search.jamas.or.jp/link/ui/2005119285
• 本文言語コード: ja
• データソース種別:
  • JaLC
  • IRDB
  • NDL
  • PubMed
  • CiNii Articles
  • KAKEN
• 抄録ライセンスフラグ: 使用不可