抗β₂-グリコプロテインI抗体の抗リン脂質抗体症候群における病原性

• 保田 晋助

  北海道大学大学院医学研究科病態制御学専攻 免疫・代謝内科学分野 第二内科

書誌事項

タイトル別名

• Pathogenic roles of anti-β₂-GPI antibody in patients with antiphospholipid syndrome
• Pathogenic roles of anti-β₂-GPI antibody in patients with antiphospholipid syndrome

抄録

  抗リン脂質抗体症候群(Antiphospholipid syndrome ; APS）は，抗リン脂質抗体(Antiphospholipid antibodies ; aPL）が検出され，動静脈血栓症または妊娠合併症を生ずる疾患である．aPL の対応抗原として，β₂-グリコプロテインI（β₂-GPI）やプロトロンビンが挙げられ，特に抗β₂-GPI抗体は病原性を有する自己抗体として研究されてきた．抗β₂-GPI抗体が血栓症を引き起こす機序としては，1）自己抗体の存在によりβ₂-GPIの陰性荷電リン脂質への結合性が高まり，β₂-GPIのもつプロテインCに対する抑制作用が強調されること，2）β₂-GPI-LDL複合体の内皮下マクロファージによる取り込みを促進し，動脈硬化を進展させること，3）血小板のApo-Eレセプターへの結合を介して血小板の粘着能を上昇させること4）内皮細胞や単球表面に結合し，p38 MAPキナーゼの系を介して組織因子を発現，局所を過凝固に導くことなどが報告されている．また，習慣流産の機序としては，胎盤梗塞のみならず補体系の活性化が報告された．これらの病態の解明が，新しい治療に繋がることが期待される．<br>

収録刊行物

• 日本臨床免疫学会会誌

  日本臨床免疫学会会誌 27 (6), 373-378, 2004

  日本臨床免疫学会

キーワード

• thromhosis
• atherosclerosis
• protein C
• p38 MAPK
• complement cascade

詳細情報

• CRID: 1390282679627619968
• NII論文ID: 10014261540
• NII書誌ID: AN00357971
• DOI: 10.2177/jsci.27.373
• COI: 1:STN:280:DC%2BD2M%2FltFajtQ%3D%3D
• ISSN: 13497413
• ISSN: 09114300
• PubMed: 15678890
• Web Site: https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsci/27/6/27_6_373/_pdf
• Web Site: https://search.jamas.or.jp/link/ui/2005119182
• 本文言語コード: ja
• データソース種別:
  • JaLC
  • Crossref
  • PubMed
  • CiNii Articles
• 抄録ライセンスフラグ: 使用不可