ベプリジルの抗細動作用に関する実験的検討

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タイトル別名
  • <I>An experimental study on antifibrillatory effects of bepridil</I>

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抄録

目的: 薬物による心房細動 (AF) リズムコントロール治療成績は全般に低率であることが知られているが, III群抗不整脈薬, ことにベプリジル (B) によるAF治療は比較的成功率が高く, 臨床的関心が高まっている.しかし本薬の抗細動作用に関する実験的検討はほとんどなされていない、我々はアセチルコリン (ACh) 誘発局所AF右心房モデルを用いてBの薬効を検討した.方法: 濾紙製円形多極電極を麻酔開胸犬右心房自由壁に縫着, プログラム刺激 (S1S2法) を加えつつ, S1, S2による心房エレクトログラムA1, A2を記録し, (1) 心房筋有効不応期 (ERP) , (2) A1およびA2 (earliest propagated response: ER) の持続 (3) A1, A2の伝導速度 (CV) , (4) AF誘発成功率, などを求め, これらの測定をACh (0, 1, 1μM) 投与の前後, さらにB (4mg/kg) 投与後の同様の繰り返しで行い, 上記のAChによる変化, それらに対するBの影響を検討した.結果: (1) AChは心房筋ERPを有意に短縮したが (138±15vs56±7msec) , Bはこの短縮度を有意に軽減した (56±7 vs 88±13msec) . (2) A1持続はACh, Bで不変だったが, A2 (ER) 持続はAChにより有意に延長 (37±12 vs 63±29msec) , Bはこの延長を有意に抑制 (63±29 vs 42±20msec) , AChによる細分化心房電気活動 (FAA) の増加はBにより著明に抑制された. (3) A1-CVはAChにより不変だったが, A2-CVはAChにより有意に抑制 (24±9 vs 14±11cm/sec) .Bはこの抑制を軽減した (14±11 vs 21±13cm/sec) . (4) ACh投与により全頭で30秒以上持続のAFが誘発されたが, B前処置後は全頭で誘発不能となり, 30秒未満のrepetitive atrial responseが誘発された場合でもその持続は短縮, 周期長 (AF-CL) も有意に延長した (58±16 vs 103±29msec) .以上, AChはERP短縮, A2-CV低下, FAA増加によりAFを誘発したが, BはこれらACh細動誘発作用をすべて軽減~減弱化し, AF誘発不能とした.

収録刊行物

  • 心電図

    心電図 25 (2), 163-172, 2005

    一般社団法人 日本不整脈心電学会

参考文献 (19)*注記

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