インスリンとカルシウムシグナルによるタウタンパク質リン酸化反応

  • 山本 秀幸
    熊本大学大学院医学薬学研究部 細胞情報薬理学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Regulation of phosphorylation of tau by insulin and Ca<sup>2+</sup> signals
  • インスリン ト カルシウム シグナル ニ ヨル タウタンパクシツ リン サンカ ハンノウ
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抄録

インスリンシグナルの主要な生理機能の一つとして,グリコーゲン合成酵素キナーゼ3(GSK3)活性の抑制が挙げられる.脳内でのインスリンシグナルの低下は,GSK3の活性を増加させ,神経細胞死を引き起こすことが明らかになってきた.アルツハイマー病で認められる老人斑と神経原線維変化の形成にGSK3が関与していることも示唆されている.また,GSK3の酵素反応の特徴の一つとして他のプロテインキナーゼでリン酸化されたタンパク質をリン酸化しやすいことが挙げられる.すなわち,活性型のGSK3の増加は,他のシグナル系と相互作用して,神経細胞を障害させる可能性がある.カルシウムシグナルにより活性化されるカルシウム,カルモデュリン依存性プロテインキナーゼII(CaMキナーゼII)とGSK3の共通の基質タンパク質としてタウが知られている.両酵素によるタウのリン酸化が,神経原線維変化形成に関与していることが明らかになってきた.また,GSK3がWntシグナルにも関与していることから,GSK3阻害薬の有害作用も検討が必要になっている.<br>

収録刊行物

  • 日本薬理学雑誌

    日本薬理学雑誌 125 (3), 129-135, 2005

    公益社団法人 日本薬理学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (58)*注記

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