巨大嚢胞性胎便性腹膜炎に対する一期的根治手術 : 一期的根治手術と多次手術の比較検討

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タイトル別名
  • Primary Radical Surgery for Giant Cystic Meconium Peritonitis
  • キョダイノウホウセイ タイベンセイ フクマクエン ニ タイスル イチゴテキ コンチ シュジュツ イチゴテキ コンチ シュジュツ ト タジ シュジュツ ノ ヒカク ケントウ

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抄録

【目的】巨大嚢胞性胎便性腹膜炎(GCMP)では, 癒着剥離や出血など手術侵襲の問題から初回手術は嚢胞ドレナージや腸瘻造設にとどめ待機的に根治手術を行うことが多い.我々も多次手術を原則として行ってきたが, 術後管理に伴う合併症や入院期間の長期化など問題も多く, 最近では一期的根治手術を行うようになった.そこで一期的根治手術例と多次手術例を比較し治療法を中心に検討した.【対象と方法】1984∿2004年の問にGCMP16例を経験した.この内, 分娩時の肝損傷により出血性ショックとなった1例を除いた15例を対象とした.I群(多次手術群n=11) : 2001年までの11例で多次手術が施行された.初回手術はドレナージ4例, 腸瘻造設7例であった.初回にドレナージのみ行った4例では, 生後10日以内の術後早期に腸瘻造設あるいは根治手術が施行された.初回に腸瘻造設が施行された7例では, 平均生後52日で待機的に根治手術が行われた.II群(一期的根治手術群n=4) : 2002年以降は5例中, 術前に出血性ショックとなった1例を除いた4例で一期的根治手術が施行された.一期的手術は嚢胞直上の臍上部横切開で開腹し嚢胞壁を切開し内容物を吸引洗浄した後, 創を延長し嚢胞壁外の正常腸管より剥離を開始した.癒着した嚢胞壁や壊死組織はなるべく切除せず電気メスで切開のみ行い剥離を進め一期的腸管吻合を施行した.術式別に手術時間, 出血量, ミルク開始時期, 合併症, 術後のCRPの推移, 中心静脈栄養の有無, 入院期間などについて検討した.なお初回手術が開腹ドレナージのみの症例では2回目の手術である腸瘻造設時又は根治手術時の手術時間, 出血量と比較した.【結果】手術時間, 出血量で両者に有意差はなかった.I群では9例で中心静脈栄養が行われたが, II群では生後9±3日の早期にミルクが開始され中心静脈栄養を必要とした症例はなかった.入院期間はI群130±48日, II群34±14日で, II群が有意に早く退院した.術後合併症は, I群では敗血症4例, 創感染2例, イレウス2例, 腹腔内出血1例, 縫合不全1例で1例が死亡した.II群では軽度の創感染1例と回腸穿孔1例で全例早期に退院した.術後のCRPの推移では, I群に比べII群ではすみやかに低下していた.【結論】最近では, GCMPのほとんどが出生前診断されるようになり, 出生前からの計画的な治療が可能になった.全身状態を十分に考慮しつつ術式を検討する必要があるが, 成熟児で出血傾向の合併がなければ一期的根治手術もメリットが多く考慮すべきである.

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