歯科入院患者における肝炎ウイルス感染と肝臓病

書誌事項

タイトル別名
  • Hepatitis Virus Infection and Hepatic Disease in Hospitalized Dental Patients

この論文をさがす

抄録

歯科入院患者を対象に, 肝炎ウイルス感染者の頻度及び, 肝臓病の病歴とウイルス感染・血液生化学値との関連を検討した.1994年1月から1995年12月までに九州歯科大学口腔外科に入院した1239名から肝臓病の病歴聴取, 血液生化学・血小板数・HBs抗原・HCV抗体の測定を行った.HBs抗原陽性率は1.6%, HCV抗体陽性率は6.1%であった.7.8%の患者が肝臓病の病歴を持っていた.肝疾患の病歴を有する者は病歴がない者に比し, 明らかにHBs抗原(11.6%対0.66%)とHCV抗体(51.2%対1.79%)の陽性率が高かった.また, 肝臓病病歴陽性者は病歴陰性者に比べ有意に血清GOT, GPT, 血糖が高値で, 逆に血小板数は少なかった.また, HBs抗原陽性者は陰性者よりも血小板数が少なかった.HCV抗体陽性者は陰性者に比し, 血清GOT, GPT, 血糖が高値で血小板数は低値であった.歯科疾患別ではHBs抗原が良性腫瘍患者に, HCV抗体が悪性腫瘍患者に高頻度に陽性である傾向にあったが双方とも有意ではなかった.以上の結果から, 歯科入院患者は一般住民よりもHBs抗原とHCV抗体の陽性率が高い可能性が示唆された.肝臓病の病歴を有している患者の歯科治療時には肝炎ウイルス院内感染予防のための十分な対策が必要と考えられた.

収録刊行物

参考文献 (22)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ