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抄録
わが国の平均寿命は1950年前後には50歳代の前半であったが, それから約50年を経て女性では83歳を超えるようになった現状の背景には, 前世紀後半における生活基盤の整備, 医学・医療技術の進歩と医療保険制制度の確立が大きく関与しているのは明らかである。そしてこれまでの50年間の推移をもとに21世紀の人口動態を予測すると, 1990年代の半に老年人口(65歳以上)が年少人口(14歳以下)を上回っており, さらに2020年頃には後期老年人口(75歳以上)もこれを上回るとされている。即ちわが国での総人口に対する年少人口が1950年からの50年間に35.5%から14.8%に減少し, 約50年後の2050年にはさらに13.8%となる一方, 老年人口は31.8%に増加することになり, わが国においては他に類を見ない著しい少子高齢社会が急速に進行している点に注目しなければならない。このような人口動態の変化を招き, 今後のさらなる高齢化が推測される要因として, 平均寿命の延長と共に出生率の低下があげられる。1947年と2002年のわが国の出生数と合計特殊出生率を比較すると, 前者は約270万から120万へ, 後者は4.32から1.32へとなり, その後もさらにこの低下傾向は進行している。世界各国の高齢化と合計特殊出生率との関連を検討した結果によると, 高齢社会(65歳以上人口が14%以上を占める)となったすべての国では合計特殊出生率が2.0を切っており, また人口転換の指標となる合計特殊出生率(2.5)を上回る高齢化社会(65歳以上人口が7%以上を占める)は2か国のみであり, 地球規模での高齢化が着実に進行していると言えよう。この出生数の減少に関連すると考えられる女性の生涯における主な事項としては, 生殖に直接関連する結婚年齢, 第1子と末子の出産年齢, 初孫の誕生年齢などがあげられる。女性の晩婚化の理由を男女共同参画社会に関する総理府の世論調査で見ると, 女性の経済力の向上, 独身生活のほうが自由, 世間にこだわりがなくなった, 仕事上独身の方が便利, などが30%を越える回答となっている。