シクロスポリンが奏効した自己免疫性慢性蕁麻疹

  • 田中 稔彦
    広島大学大学院医歯薬学総合研究科皮膚科学
  • 北野 文朗
    広島大学大学院医歯薬学総合研究科皮膚科学
  • 桐谷 麻美子
    広島大学大学院医歯薬学総合研究科皮膚科学
  • 亀好 良一
    広島大学大学院医歯薬学総合研究科皮膚科学
  • 羅 智靖
    日本大学医学部先端医学総合研究センター分子細胞免疫・アレルギー学講座
  • 秀 道広
    広島大学大学院医歯薬学総合研究科皮膚科学

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Autoimmune Chronic Urticaria Successfully Treated with Cyclosporine
  • シクロスポリン ガ ソウコウ シタ ジコ メンエキセイ マンセイ ジンマシン

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抄録

68歳,女性.3年前より膨疹と激しい痒みの出没が持続し,ヒスタミンH1受容体拮抗薬とコルチコステロイド内服薬を投与されるも効果がなく,痒みのために著しくQOLが障害され抑うつ的となっていた.自己血清の皮内反応で陽性反応を示し,健常人由来の末梢血好塩基球を用いたヒスタミン遊離試験の結果から,高親和性IgE受容体分子に対する自己抗体による自己免疫性蕁麻疹と診断した.シクロスポリンを投与し,速やかに皮疹は消退した.患者血清中の健常人好塩基球に対するヒスタミン遊離活性を経時的に測定したところ,ヒスタミン遊離活性は症状の消長と連動し,治療により症状が完全に消失した後は数カ月かけてゆっくりと低下していった.シクロスポリンは皮膚マスト細胞に直接作用してヒスタミン遊離を抑制するだけでなく,自己抗体の産生を抑制することによって蕁麻疹の病勢を制御する可能性が考えられた.

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参考文献 (19)*注記

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