放射線性直腸炎の出血に対する治療戦略―Argon plasma coagulation(APC)の最適な治療方法―

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  • Therapeutic strategy for hemorrhagic radiation proctitis -the optimum condition of argon plasma coagulation (APC)

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抄録

放射線性直腸炎による出血に対して,argon plasma coagulation(APC)治療を施行し,半年以上経過観察された18例を対象に,内視鏡所見別の治療戦略やAPCの最適な焼灼方法をretrospectiveに検討した.治療前の内視鏡所見を見直しで以下の様に分類,Type A;限局した拡張血管(n=6),Type B;びまん性の拡張血管(n=6),Type C;拡張血管にともないびらん・潰瘍をともなう(n=6).APCの設定値と焼灼方法は,電力40 W・アルゴンガス流量1.0 l/minで5~10秒の連続焼灼または,電力40 W/アルゴンガス流量0.6 l/min(低侵襲設定)で1~2秒の短時間焼灼で施行した.Type A・Bの症例は,いずれの設定値と焼灼方法でも,全例重篤な合併症なく効果を得ることができた.Type Cにおいても,止血効果は認めたが,40 W・1.0 l/min/5~10秒の連続焼灼を施行した例で直腸膣瘻やAPC後潰瘍の遷延例を認めた.無再発例は89%,無再発期間は平均18±9.9カ月であった.出血性放射線性腸炎に対するAPC治療は有用であるが,粘膜の脆弱性が高度で広範囲の症例は,瘻孔形成や潰瘍治癒が遅延することがあるため,APCの設定値と焼灼方法は,より低侵襲設定での短時間焼灼を推奨する.<br>

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