Lewy小体型痴呆研究の進歩

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  • Progress of research on dementia with Lewy bodies
  • Lewy ショウタイガタ チホウ ケンキュウ ノ シンポ

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抄録

Lewy 小体型痴呆 dementia with Lewy bodies (以下DLBと略す) は, 1976年以降の筆者らの一連の研究により注目され, 筆者らにより提唱された「Lewy 小体病」Lewy body disease やその一型である「びまん性 Lewy 小体病」diffuse Lewy body disease を基礎として, 1995年の第一回国際ワークショップで提唱された名称である. そのワークショップの報告が1996年にCDLBガイドラインとしてまとめられ, そこで臨床および病理診断基準が提唱された. これにより臨床診断が可能になり, DLBは臨床家の間でもよく知られるようになり, 現在では頻度が高いことから, アルツハイマー型痴呆, 血管性痴呆とともに三大痴呆疾患と討われている.<br>その後, 1998年に第2回国際ワークショップが, 2003年に第3回国際ワークショップが開催され, また,DLBに関する臨床的・病理学的・生化学的・分子遺伝学的研究が進展し, 新しい知見が加わってきている.<br>近いうちに, 改訂版CDLBガイドラインが報告されることになっているが, Lewy 小体の主要な構成成分としてα-synuclein が明らかになり, その免疫染色により Lewy 小体や Lewy 神経突起が容易に見い出されるようになり, 病理診断も容易になった. また, DLBでは脳内のアセチルコリン濃度がアルツハイマー型痴呆よりも少ないことから, コリンエステラーゼ阻害薬がより効果的であることも明らかにされ, また家族例でのα-synuclein 遺伝子異常も明らかになりつつあり, DLBがますます注目されるようになった. ここでは, 筆者らの研究を中心に紹介し, DLBの研究の進歩について概説する.

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参考文献 (82)*注記

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