組織充填用ハイブリット体の生体親和性について

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  • Biocompatibility of Hybrid Biomaterial for Tissue Filling

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抄録

当教室では, 高分子電解質錯体 (PEC) を用いた顎骨の再構築および骨組織の補填を目的とした研究を進めてきている.今回新たに開発したPECと粒径の異なる2種類 (直径200~500μm, 1000μm, 気孔率約35%) のハイドロシキアパタイト顆粒 (HAP) を用いてPEC-ハイドロシキアパタイトハイブリット体 (HAPEC ball) を作製し, 動物実験でHAP顆粒, PEC, HAPECballの生体親和性, 生体適合性および骨充填材基質としての可能性について検索した.その結果, HAPECballはHAP穎粒単独と比較して細胞の遊走を強力に促進させた.また時間の経過と共に炎症反応が減少し, 特に8週例では炎症性細胞浸潤はほとんど認められなかった.さらにHAPEC ballからのHAP顆粒の拡散, 流出は全く見られず, HAP顆粒の粒径による比較では200~500μmのHAPEC ballが1000μmのものよりも埋入時の形態を維持しており, 粒径が大きい1000μmのHAP顆粒の方が異物反応が大きかった.以上の結果から今回新たに開発したPECは生体親和性, 生体吸収性を有し, かつ細胞の遊走を強力に促進していた.また粒径200~500μmのHAP顆粒を用いることによりHAPECballの形態維持が大きく向上した.よって, HAPEC ballは生体材料として有用であることが示唆された.

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