紙パルプ工場排水処理実態調査報告

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タイトル別名
  • Wastewater Treatment in Japanese Pulp and Paper Mills Today
  • カミ パルプ コウジョウ ハイスイ ショリ ジッタイ チョウサ ホウコク

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抄録

本調査はアンケートの回答が得られた102工場の2002年度の排水処理操業実績を基にして,前回1991年度に実施した調査結果と比較しながら,日本の紙パルプ産業の排水処理の変化についてとりまとめたものである。調査データは2002年度のパルプ生産量(但し,離解古紙パルプとDIPは除く)の98%,紙板紙生産量の89%をカバーしている。<BR>この11年の間,日本経済は停滞を続けてきたが,この間パルプ生産量は9%減少し,紙・板紙生産量についても10%の増加に止まった。102工場の中で,1/3の工場は年間30万トン以上の製品を製造し,72%はパルプと紙・板紙を生産している一貫工場であり,31%はクラフトパルプ工場である。<BR>50%の工場が排水を河川に放流し,41%の工場は海域に放流している。閉鎖性海域(東京湾,伊勢湾,瀬戸内海)には30%の工場の排水が流入している。<BR>近年の日本における環境保全意識の向上を背景にして排水規制は一段と強化され,SSとBODの排出規制値の日間平均濃度はSS,BODが20%,CODは10%低下した。<BR>これに対応するため各社の弛まない削減努力の結果,製品あたりの排出原単位はSSが29%,BODは42%,CODは30%低下し,新水原単位についても16%減少した。2002年度の平均排出原単位はSSが2.6kg/t,BODが2.8kg/t,CODが7.4k/t,平均新水原単位は88m3/tである。<BR>排水処理方法は依然として凝集沈殿処理が主流ではあるが,いつくかの生物処理を含めた多段処理が普及してきた。活性汚泥処理では空気曝気処理から酸素曝気処理への転換が進み,工程排水のBODやCODの50%以上は活性汚泥処理によって除去されている。<BR>排水処理の平均要員は4.7人であり,1991年度と比較して1/3にまで減少した。

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 60 (5), 724-739, 2006

    紙パルプ技術協会

被引用文献 (3)*注記

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