<I>Helicobacter pylori</I>除菌の一般化とその後の話題

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タイトル別名
  • Generalization of <I>Helicobacter pylori</I> Eradication Therapy and Its Future in Japan
  • Helicobacter pylori除菌の一般化とその後の話題
  • Helicobacter pyloriジョキン ノ イッパンカ ト ソノゴ ノ ワダイ
  • Generalization of Helicobacter pylori Eradication Therapy and Its Future in Japan

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抄録

2000年, H.pyloriの除菌療法が消化性潰瘍を対象として保険適用され, 4年が経過した. この除菌治療の一般化とその後の話題について, まず適応疾患については, 日本ヘリコバクター学会のガイドラインにより, 除菌治療が勧められる疾患に胃MALTリンパ腫が挙げられた. これは本菌の除菌により約60%の患者でその寛解が認められたためである. また除菌が望ましい疾患として萎縮性胃炎が挙げられた. 胃癌予防と言う点から除菌による組織学的胃炎の改善が重要であるとされたからである. さらに除菌治療の意義が検討されている疾患として, 消化管以外の疾患, 特に特発性血小板減少性紫斑病 (ITP) が挙げられた. ITPにおいては約60%の症例でH. pyloriの除菌後に血小板の増加が認められており, 今後の検討が注目されている.<BR>つぎに感染診断法の最近の話題として, 耐性菌の増加に伴い薬剤感受性試験の需要が増し, ますます培養法が重要視されている. また尿素呼気試験では, 除菌判定時における偽陽性につき検討が進められている. さらに本邦分離菌を抗原とした新しい抗H.pylori抗体測定法の有用性が報告されている. また新しく便中H. pylori抗原測定法が保険収載され, 簡便で, 有用性の高い診断法として期待されている.<BR>最後に除菌治療法について, 一般的治療は, プロトンポンプ阻害薬+ amoxicillin + clarithromycin (CAM) を1週間内服する3剤併用療法だが, 正しく内服する事が重要である. 最近, 除菌率の低下が問題となっているが, その理由の一つとして, CAM耐性菌の増加が挙げられている. そこで除菌不成功例における二次除菌においては, CAMの代わりにmetronidazoleを投与する3剤併用療法が日本ヘリコバクター学会より推奨され, その除菌率が約90%と報告されている.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 80 (3), 203-211, 2006

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (2)*注記

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参考文献 (53)*注記

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