ラットを用いた簡便な嘔吐測定法 The easy method for emesis using rats

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抄録

嘔吐の研究には,実験動物として実際に嘔吐を発現するイヌ,ネコ,ブタ,フェレットが用いられてきた.最近ではより小型の動物として,スナネズミ,ジャコウネズミやスンクスなどが用いられているが,これらのほ乳動物はマウスやラットに比べて特殊で入手が困難であることや,生物学的な情報量が著しく少ないなどの問題がある.一方,ラットは嘔吐という行動を発現しない.ところが,ラットに催吐剤を投与すると,通常の食餌とは全く異なったものを摂取するいわゆる異食行動を起こす.私たちはこれまでフェレットの嘔吐反応やラットの異食行動を用いて嘔吐の仕組みについて研究を行なってきた.そこで本稿では,特にラットを用いた簡便な嘔吐反応の測定方法を概説すると共に,それを用いたいくつかの実験結果を紹介する.方法(1)カオリンにアラビアゴム末を加えて水でゴルフボール大に固めガラス容器に入れて,正常飼料と共にそれぞれラットの飼育ケージ内に置いた.方法(2)正常飼料と同等の硬度と形状に作製した飼料をケージの金網越しにラットに与えた.それぞれ1日に1回残った飼料の重量から摂食量を算出した.催吐剤としてシスプラチンをラットに腹腔内投与すると,投与1および2日目に両方法ともにカオリン飼料の摂食量が増加し,それとともに正常飼料の摂食量が減少した.この反応はタキキニンNK-1受容体拮抗薬のCP-99,994およびHSP-117をそれぞれ腹腔内あるいは脳室内に投与することにより著明に抑制された.以上の結果は,フェレットにシスプラチンを投与して発現する嘔吐行動のパターンに酷似していた.従って,カオリン飼料を用いた異食行動は,嘔吐を起こさないラットで嘔吐の指標となり得ることが分かった.特に,方法(2)は飼育ケージ内に欠片がほとんど落ちることがなく正確な摂食量を測定でき,通常の飼料と同じように取り扱うことができた.よってこの方法は,ラットを用いて嘔吐作用の有無を簡便に安価に調べることができる有用な手段と考えられる.<br>

収録刊行物

  • 日本薬理学雑誌 : FOLIA PHARMACOLOGICA JAPONICA  

    日本薬理学雑誌 : FOLIA PHARMACOLOGICA JAPONICA 127(6), 461-465, 2006-06-01 

    公益社団法人 日本薬理学会

参考文献:  7件

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各種コード

  • NII論文ID(NAID)
    10018061250
  • NII書誌ID(NCID)
    AN00198335
  • 本文言語コード
    JPN
  • 資料種別
    NOT
  • ISSN
    00155691
  • NDL 記事登録ID
    7977046
  • NDL 雑誌分類
    ZS51(科学技術--薬学)
  • NDL 請求記号
    Z19-247
  • データ提供元
    CJP書誌  NDL  J-STAGE 
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