Evaluation and management of pressure ulcers in the elderly

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  • 高齢者におけるじょくそうの評価と治療
  • コウレイシャ ニ オケル ジョクソウ ノ ヒョウカ ト チリョウ

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Abstract

急速に高齢化が進行する我が国において, 褥瘡はますます重要な問題になっている. 2002年の褥瘡対策未実施減算, 2004年の特定機能病院等における重症褥瘡発生に関する事故報告書の提出など, 褥瘡を取り巻く医療環境が変化していく中で, 褥瘡の評価・管理に明らかな発展がみられている. 褥瘡は圧迫, ずれ, 摩擦を含む外力によって発生し, さらに細菌感染を伴うことによって重症化する. 重傷度の評価として, 本邦では日本褥瘡学会が提唱した DESIGN 分類を使用するのが最も一般的であり, 病院の82.2%で使用されている. 近年, 褥瘡の第1段階である圧迫しても消褪しない発赤に対して, 二通りの転帰が存在することが明らかになってきている. 一方は速やかに治癒し, 一方はより深い褥瘡に発展する. 後者の中には, 発赤であってもすでにその時点で深部に損傷 Deep Tissue Injury (DTI) が生じていると考えられる症例もあり, 浅い褥瘡であっても軽視してはならないと考えられるようになってきている.<br>褥瘡の治癒には, 創面を湿潤環境に保つ Moist Wound Healing 理論を適用することが重要であるが, 日本では, 高齢者の特徴である低栄養, ずれなどによってポケットを有する褥瘡が多いため, 理論通りに治癒させることが困難であり, 難治性となることが多い. 褥瘡部の治療には日本褥瘡学会から DESIGN 分類に合わせたガイドラインが出されており, 推奨度と共に治療方法が提示されているため, 臨床適用の判断の一材料となっている.<br>近年感染創に対する考え方の中で, 定着と感染の間の状態である critical colonization という概念が提唱されてきた. 明らかな感染徴候がないにもかかわらず治癒が止まり, そこに抗菌薬を使用すると治癒が促進するという状況を示しており, 現在のところ明確な定義はないが重要な概念と考えられる.<br>今後, 現在ある治療方法に加えて, サイトカインや遺伝子導入による創傷治癒促進の研究もますます進み, 難治性褥瘡に対する治療のオプションが増えていくであろう.

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