オクトレオチド投与により高血糖をきたし,少量に減少し病態の改善をみたインスリノーマの1例

書誌事項

タイトル別名
  • A Patient with Octreotide-ultrasensitive Insulinoma Whose Insulin Resistance Was Disclosed by Sudden Extreme Hyperglycemia upon Treatment
  • 症例報告 オクトレオチド投与により高血糖をきたし,少量に減少し病態の改善をみたインスリノーマの1例
  • ショウレイ ホウコク オクトレオチド トウヨ ニ ヨリ コウケットウ オ キタシ ショウリョウ ニ ゲンショウ シ ビョウタイ ノ カイゼン オ ミタ インスリノーマ ノ 1レイ

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抄録

少量オクトレオチドにより著明な高血糖をきたし,血糖正常化のために極少量範囲での用量調節を要した高齢インスリノーマ症例を経験した.症例は89歳女性.6年前からリハビリテーション施設入所中に早朝意識障害から低血糖(20 mg/dl)に気づかれた.低血糖時の血中インスリン12 μg/ml, Cペプチド3.3 mg/dl, 拮抗ホルモン正常,クロモグラニンA高値,CTで膵頭部に造影効果ある腫瘤影を認めインスリノーマと診断した.年齢や併発症(腹部大動脈瘤)等からオクトレオチド治療を選択,50 μg(朝1回)を投与したところ直後から著明高血糖となり(頂値555 mg/dl), 前値復帰に36時間を要した.至適量を探した結果,10 μg/日(夕1回)で血糖が安定し,高血糖も意識消失発作もなくなった.インスリノーマ内科治療の主力であるオクトレオチドだが,10 μg/日という極少量で奏効することは異例で,機序として高感受性受容体サブタイプの発現を考えている.また,正常~各種病態者に使用しても高血糖にならないオクトレオチドが,本例で著明高血糖を誘発した理由としては,受容体差に加え適応現象としてのインスリン抵抗性が考えられた.

収録刊行物

  • 糖尿病

    糖尿病 49 (6), 429-434, 2006

    一般社団法人 日本糖尿病学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (20)*注記

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