腸管出血性大腸菌O157学童集団感染における血清抗LPS抗体産生についての検討

書誌事項

タイトル別名
  • Serum Anti-LPS Antibody Production in an Outbreak of Enterohemorrhagic <I>Escherichia coli</I> O157 Infection Among Schoolchildren
  • チョウカン シュッケツセイ ダイチョウキン O157 ガクドウ シュウダン カンセン ニ オケル ケッセイ コウLPS コウタイ サンセイ ニ ツイテ ノ ケントウ
  • Serum Anti-LPS Antibody Production in an Outbreak of Enterohemorrhagic Escherichia coli O157 Infection Among Schoolchildren

この論文をさがす

抄録

腸管出血性大腸菌 (EHEC) O157に対する血清診断の有用性については多数の報告があるが, 一方で検出菌の血清型と上昇した抗LPS抗体が一致しない症例のあることが報告されている. 今回, 細菌学的にも年齢構成も均一な1996年盛岡市内の小学校で発生したEHEC O157: H7の集団感染事例 (220名) のうち31症例 (血清77検体) を対象としてELISAによる抗LPS抗体価測定を行い, その診断的意義について考察した. 原因食喫食後19日目までの抗O157LPS抗体陽性率は, IgM抗体で98.7% (76/77), IgG抗体で85.7% (66/77), IgA抗体で98.7% (76/77) であった. 経過中, IgM抗体, IgA抗体については全症例で抗O157LPS抗体を検出した. 対照血清を用いた特異度はIgM抗体で93.5%, IgG抗体で935%, IgA抗体で97.2%であった. 抗O157抗体価よりは低値であったがO111LPS, O26LPSに対する抗体を認める検体もあった. 検出された抗O111抗体価, 抗026抗体価の問には高い相関がみられ, これらの抗体はO157LPSに対する交差抗体と考えられた. 臨床症状の差異と抗O157LPS抗体価との間に有意な関係は認められなかったことから, 重症症例のみならず, 軽症O157感染症においても抗LPS抗体上昇が診断的裏付けになるものと考えられた.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 80 (2), 84-90, 2006

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (1)*注記

もっと見る

参考文献 (17)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ