書誌事項
- タイトル別名
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- Factors Related to the Attitude of General Dental Practitioners toward Treatment of HIV Carriers
- シカ シンリョウジョ ニ オケル HIV ヨウセイシャ ノ シンリョウ ウケイレ シセイ ト カンレン スル ヨウイン
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抄録
歯科診療所におけるHIV陽性者の歯科診療受入れ姿勢に関連する要因を明らかにする目的で,471名の歯科診療所の開設者あるいは勤務者である歯科医師を対象として調査票を送付し,回収できた431件の回答内容を分析した.HIV陽性者であると判明した場合,「原則として断る」という回答が28.6%,「一般の患者と同様に対処する」という回答は4.0%であり,肝炎ウイルス陽性者への対応と大きな格差がみられた.HIVの診療を困難とする理由としては「十分な消毒・滅菌が困難」が最も多かった.肝炎ウイルス陽性者の歯科診療を受入れないという回答を除外した398件について,HIV陽性者の診療受入れ姿勢に関連する要因に関する多重ロジスティック回帰分析を行った結果では,オッズ比は,「ユニバーサルプリコーション,スタンダードプリコーションについて理解している」が1.73,「針刺し事故の経験あり」および「HIV陽性患者の歯科診療の依頼を受けた経験あり」という回答者では,それぞれ0.57および3.50,口腔外科あるいは麻酔系の経験ありという回答者では1.78で,いずれも有意であった.感染予防対策に関する基本的な認識ならびに,臨床上の経験が,HIV陽性者の歯科診療受入れ姿勢に関連する重要な要因であることが示唆された.歯科診療室における最新の感染防御に関する知見(CDC2003等)に準拠し,受診者を区別せず同等の標準的な院内感染防止対策を図るための知識の普及と併せて,感染予防対策の実技や,感染者自身の参加などの工夫により,医療者の行動変容をもたらすような研修システムの開発が,HIV陽性者の人権にも配慮した歯科診療の促進と安全な歯科医療の普及のために重要であるといえる.
収録刊行物
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- 口腔衛生学会雑誌
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口腔衛生学会雑誌 56 (3), 240-248, 2006
一般社団法人 口腔衛生学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205003856384
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- NII論文ID
- 110004815012
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- NII書誌ID
- AN00081407
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- ISSN
- 21897379
- 00232831
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- NDL書誌ID
- 8056959
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- NDL
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可