バングラディシュ稲作のテイクオフ過程に関する研究 : シェルプール地区アリナパラ村を事例に Process of Take-off in Rice Farming of Bangladesh : A case study on Alinapara village in Sherpur district

この論文にアクセスする

この論文をさがす

著者

抄録

水稲は、バングラディシュの穀物生産の94%を占める主要穀物である。1970年代半ばから、HYVボロ・ライスの灌漑生産の拡大により、その生産量は急増した。1987年から95年にかけて、米の生産量は人口成長率1.42%を超える1.65%の成長率をみせ、1980年代末にマルサスの罠を克服している。また、1991年から93年にかけて米の実質的な輸入がなかったため、90年代初めに米の自給率はほぼ100%となり、さらに99-2000年には穀物自給率100%が達成された。この稲作生産の発展を扱った研究において、農村段階に踏み込んだものは少ない。そこで本稿では、バングラディシュの具体的農村における稲作の発展過程を考察し、農村と地権者諸階層において、過程とその要因を明らかにすることを課題とした。アリナパラ村の生産者は、1981年にHYVボロ・ライスの作付けを開始した。それによる水稲生産量の増大は穀物不足を克服するに留まらず、販売のための余剰をももたらした。この地域は、浅管井戸式灌漑の普及とHYVボロ・ライスの作付拡大によって発展をみたのである。中・大規模地主は、自己資金や政府からの借入資金により、早くに浅管井戸に対応した。そして、浅管井戸所有者と非所有者、あるいは浅管井戸所有者間の水をめぐる取引も行われている。また、限られた少数の大規模地主しか、政府の普及サービスを利用できなかったものの、HYV種に適応していない生産者は、適応者からHYV種子や助言を得ている。小規模地主は、1990年代初めから、浅管井戸の設置が可能となった。この灌漑設備が、全ての生産者で可能になったのは1990年後半からである。なぜなら、浅管井戸の低コスト化が急速に進んだからである。

収録刊行物

  • 農業経済論集  

    農業経済論集 57(1), 99-110, 2006-06-01 

    九州農業経済学会

参考文献:  10件

参考文献を見るにはログインが必要です。ユーザIDをお持ちでない方は新規登録してください。

各種コード

  • NII論文ID(NAID)
    10018229231
  • NII書誌ID(NCID)
    AN00200914
  • 本文言語コード
    ENG
  • 資料種別
    ART
  • 雑誌種別
    大学紀要
  • ISSN
    03888363
  • NDL 記事登録ID
    8055586
  • NDL 雑誌分類
    ZR8(科学技術--農林水産--農産--農業経済学)
  • NDL 請求記号
    Z18-97
  • データ提供元
    CJP書誌  NDL  IR 
ページトップへ