燃料電池カソード触媒を目指した金属ポルフィリン担体としての炭素材料の検討

書誌事項

タイトル別名
  • Investigation of Carbon Materials as Supports for Metalloporphyrins Used for Cathode Catalyst in Fuel Cells
  • ネンリョウ デンチ カソード ショクバイ オ メザシタ キンゾク ポルフィリン タンタイ ト シテ ノ タンソ ザイリョウ ノ ケントウ

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抄録

酸素四電子還元触媒として有効なコバルトポルフィリンとして, 5,10,15,20-テトラエチルポルフィリンコバルト (CoTEtP) を合成した. 比表面積の異なる各種炭素粒子 (カーボンブラック) および多層カーボンナノチューブ (MWCNT) 表面上にCoTEtPを修飾し, 調製した触媒をNafion溶液に分散させ, エッジ面パイロリティックグラファイト (EPG) 電極上にキャストすることにより修飾電極とした. X線光電子分光法 (XPS) により, CoTEtPを担持させたカーボンブラックの触媒表面のCo濃度 (Co atom%) をもとめた結果, 比表面積の大きな担体ほど触媒表面のCo濃度が増加する傾向が示された. サイクリックボルタンメトリー (CV) および回転ディスク電極 (RDE) を用いた電気化学的測定により, 熱処理前の触媒においては, 比表面積が大きなBlack Pearls 2000を担体として用いた触媒でピーク電位は最も貴なEp=0.48V vs. SCEとなり, CoTEtPの吸着量に伴い活性が向上することが明らかとなった. 得られた触媒を不活性ガス雰囲気下で熱処理するとさらなる活性向上が認められ, Ketjen Black ECを担体として用いた触媒においても貴な電位 (Ep=0.51V vs. SCE) および高い反応選択度 (反応電子数n =3.9) で酸素の四電子還元が進行することが明らかとなった. CoTEtPをMWCNTへ担持させる際には, 界面活性剤であるTriton X-100を添加し分散性向上を試みた. Triton X-100を加えた系では触媒表面のCo濃度の増大が観測されたが, 触媒表面へのTriton X-100の吸着のためにRDE測定から求めた活性化支配電流であるIkの値は, Triton X-100を添加していない触媒と比べて減少した. MWCNTを担体として用いた触媒を熱処理すると, カーボンブラックと同様に活性向上を示した. 特にTriton X-100を添加した触媒では, MWCNTに吸着していたTriton X-100が熱処理により分解し, 電荷移動が容易になったため, Ikの値が大幅に増大した. 本実験系で調製したこれらの触媒において, 燃料電池における白金によらない新しいカソード触媒としての可能性が示された.

収録刊行物

  • 高分子論文集

    高分子論文集 63 (9), 607-612, 2006

    公益社団法人 高分子学会

参考文献 (60)*注記

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