台湾における遠洋鮪漁業の現状と今後の展望

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  • Current state and prospects of deep-sea tuna fisheries in Taiwan
  • Current state and prospects of deep-sea tuna fisheries in Taiwan: the case study of T-enterprise
  • ―The case study of T-enterprise―

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抄録

<p>台湾における遠洋鮪延縄漁業は,日本への刺身マグロ市場への参入を基に拡大し,特に1990年代以降は台湾船によるマグロ漁獲量は増加の傾向にある。漁船数を見ても同様の傾向にあり,100t以上の延縄漁船数は2000年が597隻で最も少ないものの,以降は増加の傾向を示している。</p><p>本論文では,台湾行政院農業委員会漁業署の統計をベースに,さらに遠洋鮪漁業の基地である高雄市で行った台湾区遠洋鮪漁船魚類輸出同業組合および台湾遠洋旋網漁業最大手のT水産会社での聞き取りを中心に,台湾遠洋鮪漁業の現状およぴ今後の展望について述べる。</p><p>懸案とされていた便宜地籍漁船問題については,2000年にOPRT(社団法人責任あるまぐろ漁業推進機構)が設立され,設立と同時に台湾区遠洋鮪漁船魚類輸出同業公会も加盟し,2004年3月現在,台湾延縄漁船の597隻が登録されている。</p><p>便宜地籍漁船問題に一応の解決を見た現在,今度は台湾の旋網漁業問題が浮上してきている。台湾では大型旋網漁船の建造が相次ぎ,T水産会社では延縄漁船8隻に対して,旋網漁船10隻を所有している。経営の面からも旋網漁業の利益が大きいとされ,資源問題を含め,旋網漁船のFOC化が今後の大きな課題となってくるであろう。</p><p>輸出が拡大傾向を示す一方で,国内消費は低迷しており,台湾区遠洋鮪漁船魚類輸出同業組合は国内刺身市場の拡大にも取り組んでいる。</p><p>台湾における遠洋鮪漁業は,日台間の問題に留まらず,特に資源管理面で国際的な議題となってきている。今後さらに遠洋旋網漁業がその対象となる前に関係国間での解決が重要である。</p><p>台湾漁船に漁獲された鮪類は,国内外の市場拡大を模索しているとはいえ,日本市場が中心であることは間違いない。両国間では漁法,資源問題などまだまだ解決する問題は多いものの,双方の努力により遠洋鮪漁業の存続・維持の形での解決が望まれる。</p>

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