絶滅のおそれのある野生生物保全の経済学 Economics of conserving endangered wildlife species

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抄録

 本論では,生物多様性保全のためにとられているいくつかの政策を概観し,あわせて経済学的に考察する。最初に,国際政策として,ワシントン条約の取引禁止(トレード・バン)の経済効果について,分析し,取引禁止が有効であるかどうかを決定するいくつかの要因を提示する。それらは(1)道徳的理由等での需要減少の大きさ(2)財に代替品があるかどうか(3)ロンダリングの規模(4)合法的供給水準(5)摘発能力と罰則(5)野生動物の保護・監視,である。 つぎに,国内政策として伝統的な国立公園・自然保護区設定型の保全とその問題点について考察する。この保全政策が機能するためにも,(1)適切な監視費用を支出することが財政的に可能であること,(2)開発のインセンティブ(保全の機会費用)が低いこと,(3)地域社会との間に野生生物に代表される自然資源の利用をめぐる敵対関係が大きくないこと,(4)過剰な旅行需要が制御可能であること,あるいは(5)公務員のモラルが低くないこと,などさまざまな条件が必要であることを述べる。一方で,国立公園型保全と対照的な保全政策である,コミュニティー・ベイスト・マネジメント(CBM)について,ジンバブエのCAMPFIREの例を紹介しながら,その特徴と機能について,インセンティブの側面を中心に説明する。つぎに,所有権の観点から国立公園型政策とCBMを分析し,とくにCBMと地域住民の自然資源の利用権に焦点をあてる。最後に,CBMが有効であるための条件を列記し,長期にわたって機能するためには,適度な調整が必要であることを論じる。

This paper investigates some policies aiming at conserving endangered wildlife species. First of all, we consider the CITES trade ban and show under what factors the ban will reduce poaching. Secondly, we investigate two types of domestic conservation policy of wildlife: one is a policy to set aside a habitat of wildlife into a national park or a protected area, and the other is a policy of utilizing community-based management (CBM) generating incentives for local communities to conserve wildlife on their own. Especially, as a representative CBM, an attempt called CAMPFIRE (The Communal Areas Management Program for Indigenous Resources) made in Zimbabwe is explained and characterized in terms of economics. We show that several conditions are required for each policy to be effective for conservation.

収録刊行物

  • 環境科学会誌 = Environmental science  

    環境科学会誌 = Environmental science 19(6), 573-585, 2006-11-30 

    SOCIETY OF ENVIRONMENTAL SCIENCE, JAPAN

参考文献:  23件

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各種コード

  • NII論文ID(NAID)
    10018384105
  • NII書誌ID(NCID)
    AN10165252
  • 本文言語コード
    JPN
  • 資料種別
    REV
  • ISSN
    09150048
  • NDL 記事登録ID
    8580005
  • NDL 雑誌分類
    ZN5(科学技術--建設工学・建設業--都市工学・衛生工学)
  • NDL 請求記号
    Z16-1836
  • データ提供元
    CJP書誌  NDL  J-STAGE 
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