心筋転移を生じた肉腫様肝癌の1剖検例

書誌事項

タイトル別名
  • Metastasis of sarcomatous hepatocellular carcinoma to myocardium-An autopsy case-
  • 症例報告 心筋転移を生じた肉腫様肝癌の1剖検例
  • ショウレイ ホウコク シンキン テンイ オ ショウジタ ニクシュ ヨウ カンガン ノ 1 ボウケンレイ

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抄録

症例は74歳,男性.2002年7月に肝細胞癌と診断され,2003年9月までに合計3回のTAEを施行されいる.2004年2月ごろより背部痛を自覚,エコー,CTにて肝S4に腫瘤を認めたため精査目的で入院となった.腹部エコーでは肝S4に直径6cmほどの不整型で境界不明瞭な低エコー腫瘤を認めた.腹部CTでは動脈相で腫瘍辺縁のみ濃染するhypovascularな腫瘤で,中心部にはlipiodolの沈着を認めた.その他,肺および胸椎に多発性転移を認めた.臨床経過並びに画像所見よりTAE後の肉腫様変化と診断した.入院中に突然死したため死因を検索する目的からも病理解剖が行われた.腫瘍は肝左葉から肝被膜を超えて横隔膜へ浸潤していた.他臓器では両側副腎,肺,胸椎への転移が確認された.また心筋内には最大径5mm以下の微小な転移巣が多発していた.組織所見では肝腫瘍および各転移巣で錯綜する短紡錘形の腫瘍細胞の増殖を認めた.免疫染色ではcytokeratin, vimentinともに陽性を示し,肝癌の肉腫様変化に矛盾しなかった.肉腫様肝癌が心臓に転移した稀な症例と考えられたので報告する.<br>

収録刊行物

  • 肝臓

    肝臓 47 (11), 511-515, 2006

    一般社団法人 日本肝臓学会

参考文献 (14)*注記

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