スタチンの pleiotropic effects とその分子機序 Pleiotropic effects of statins on endothelium and signaling mechanisms

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抄録

スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)はコレステロール合成経路の律速段階であるHMG-CoA還元酵素を阻害することにより血清コレステロールを低下させる作用を有する.スタチンの冠動脈イベントの発症や進行の抑制は大規模臨床試験によっても証明されているが,コレステロールの低下作用だけでは説明のつかない他の作用機序によって動脈硬化性疾患の発症進展を抑制していることを示す報告が相次いでいる.血管弛緩を誘導する遺伝子の誘導,血管収縮遺伝子の抑制に加えて,抗凝固活性を有する遺伝子の誘導,炎症性因子,血栓形成促進遺伝子の発現抑制を誘導する.このようにスタチンは,同時に多くの遺伝子発現に対して正と負の両面から制御をかけることで血行動態の改善方向に機能している.一方でeNOSを活性化することで血管新生を誘発し,血管の恒常性維持に積極的に関わることが示されている.それらスタチンのpleiotropic effectsの分子機序に対する研究が盛んに行われており,注目すべきものとしてPI3K/Akt経路の活性化とイソプレノイド産生低下による低分子量GTP結合タンパク質の活性抑制が挙げられる.近年,スタチンがin vitro,in vivoの血管新生において用量依存的に,二相性の効果をもつことが報告された.低用量のスタチンは血管新生を促進し,高用量のスタチンは逆にこれを阻害する.以上よりスタチンは当初の予想以上のポテンシャルを有しており,今後,各臓器での作用を系統的に解明し,至適投与量を検討することが重要となってくると考えられる.<br>

収録刊行物

  • 日本薬理学雑誌 : FOLIA PHARMACOLOGICA JAPONICA  

    日本薬理学雑誌 : FOLIA PHARMACOLOGICA JAPONICA 128(3), 161-166, 2006-09-01 

    公益社団法人 日本薬理学会

参考文献:  45件

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各種コード

  • NII論文ID(NAID)
    10018399894
  • NII書誌ID(NCID)
    AN00198335
  • 本文言語コード
    JPN
  • 資料種別
    REV
  • ISSN
    00155691
  • NDL 記事登録ID
    8080437
  • NDL 雑誌分類
    ZS51(科学技術--薬学)
  • NDL 請求記号
    Z19-247
  • データ提供元
    CJP書誌  NDL  J-STAGE 
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