治療薬シリーズ(7)統合失調症  2)統合失調症治療薬の薬理作用

  • 徳田 久美子
    大日本住友製薬株式会社 研究本部 薬理研究所 薬理研究第2グループ

書誌事項

タイトル別名
  • Pharmacological action of antipsychotic drugs
  • 統合失調症治療薬の薬理作用
  • トウゴウ シッチョウショウ チリョウヤク ノ ヤクリ サヨウ

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抄録

統合失調症治療薬(抗精神病薬)には,ほぼ全てに共通してドパミンD2受容体拮抗作用があり,ドパミン神経機能の異常に基づく病態モデルにおいて,各種の行動異常を抑制する.このようなD2受容体拮抗作用は,臨床における幻覚,妄想等の陽性症状改善に寄与すると考えられている.しかし,D2受容体に選択的な拮抗薬では,重篤な運動障害である錐体外路系副作用(EPS)や内分泌系副作用を誘発しやすい点が問題とされたため,最近では,EPSが軽減された非定型抗精神病薬による治療が主流となっている.非定型抗精神病薬の多くは,D2受容体拮抗作用に加えて,セロトニン5-HT2受容体拮抗作用を有し,感情鈍磨や自発性欠如等の陰性症状にも有効とされる.一方,抗精神病薬による過度の鎮静・血圧降下等の副作用には,アドレナリンα1受容体やヒスタミンH1受容体に対する拮抗作用が関与すると言われる.現在,NMDA受容体機能低下仮説に基づく非ドパミン系の薬剤や,認知機能改善に焦点を当てた薬剤も開発が進められており,今後の動向が注目される.<br>

収録刊行物

  • 日本薬理学雑誌

    日本薬理学雑誌 128 (3), 173-176, 2006

    公益社団法人 日本薬理学会

参考文献 (22)*注記

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