都市部在住高齢者における尿失禁の頻度および尿失禁に関連する特性:要介護予防のための包括的健診(「お達者健診」)についての研究

  • 吉田 祐子
    東京都老人総合研究所自立促進と介護予防研究チーム
  • 金 憲経
    東京都老人総合研究所自立促進と介護予防研究チーム
  • 岩佐 一
    東京都老人総合研究所自立促進と介護予防研究チーム
  • 權 珍嬉
    東京都老人総合研究所自立促進と介護予防研究チーム
  • 杉浦 美穂
    東京都老人総合研究所自立促進と介護予防研究チーム
  • 古名 丈人
    札幌医科大学保健医療学部基礎理学療法学講座
  • 吉田 英世
    東京都老人総合研究所自立促進と介護予防研究チーム
  • 鈴木 隆雄
    東京都老人総合研究所自立促進と介護予防研究チーム

書誌事項

タイトル別名
  • Comprehensive health examination of the prevalence and characteristics of urinary incontinence in community dwelling elderly for the prevention of geriatric syndrome and bed-ridden state
  • トシブ ザイジュウ コウレイシャ ニ オケル ニョウシッキン ノ ヒンド オヨビ ニョウシッキン ニ カンレンスル トクセイ ヨウカイゴ ヨボウ ノ タメノ ホウカツテキ ケンシン オタッシャ ケンシン ニ ツイテ ノ ケンキュウ

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抄録

目的 都市部在住高齢者を対象に実施した健診受診者における尿失禁の有無および尿失禁に関連する特性について明らかにすることを目的とした.方法 対象は2002年度に70歳以上高齢者を対象に,老年症候群予防を目的として実施した包括的健診(「お達者健診」)の受診者1,786人のうち,尿失禁に関するデータに不備のないケース1,783人(男性768人,女性1,015人)とした.聞き取り調査の結果から,尿失禁がある場合を尿失禁群,それ以外を対照群とし,二群間の諸特性(社会的特性,既往症,身体機能等)について比較した.また,尿失禁に関連する特性の探索のため多重ロジスティック回帰分析を行った.結果 尿失禁がある者は340人(全体の19.1%)であり,男性103人(男性の13.4%),女性237人(女性の23.3%)であった.尿失禁群と対照群を比較したところ,男女ともに尿失禁群で歩行速度が遅く(通常歩行・最大歩行;男女ともにP<0.001),ファンクショナルリーチが低かった(男性P<0.001,女性P<0.01).さらに男性では,対照群に比べ尿失禁群で,握力(P<0.01),膝伸展筋力(P<0.01)が低かった.多重ロジスティック回帰分析の結果,男性では歩行速度が遅い(Odds Ratio(OR)=0.19, 95% Confidence Intervals(CI)0.08∼0.48),アルブミンが低い(OR=0.40, 95% CI 0.16∼0.99),女性では歩行速度が遅い(OR=0.29, 95% CI 0.15∼0.56),BMIが高い(OR=1.09, 95% CI 1.04∼1.14),うつ傾向がある(OR=3.06, 95% CI 1.40∼6.69),運動習慣がない(OR=0.70, 95% CI 0.50∼0.98)という特性が尿失禁があることと強い関連を示した.結論 尿失禁を持つ高齢者の特性として,男女ともに,身体機能が低かった.また,その他の特性として,男性では栄養状態が低いこと,女性では,肥満傾向が高く,うつ傾向があり,身体活動が低いという特性を有することが示された.<br>

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被引用文献 (4)*注記

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参考文献 (33)*注記

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