日本のトランスレーショナルリサーチをどう進めるか  動物のデータはヒトにどこまで迫れるか?

  • 辻 彰
    金沢大学大学院自然科学研究科薬学系

書誌事項

タイトル別名
  • Can we predict pharmacokinetic profiles of drugs in humans from data of experimental animals?
  • 動物のデータはヒトにどこまで迫れるか?
  • ドウブツ ノ データ ワ ヒト ニ ドコ マデ セマレル カ

この論文をさがす

抄録

候補薬を経口投与後の消化管吸収性と動物とヒトにおけるバイオアベイラビリティー(BA)の関係の理解は,医薬品の発見・開発にとってきわめて重要である.ヒトとサルとの間の類似性にかかわらず,多くの薬物において両者におけるBAに大きな相違が認められている.低分子医薬品にあっては実験動物とヒトとの間の動態・薬効・毒性特性において乗り越えることのできない種差がある.創薬候補薬投与後のBA,組織移行,代謝・排泄など,代謝酵素やトランスポーターの機能によって制御されているヒト体内動態を予測するためにヒト組織,ヒト由来細胞,ヒト肝臓,または小腸ミクロゾームやヒト遺伝子発現系を用いたin vitroモデルや,生理学的薬物速度論を用いたin silicoモデルのようなヒト動態評価システムが医薬品開発研究に積極的に取り入れられるようになったが,予測性は必ずしもよくない.<BR> したがって,疾病治療上ヒトで有用な候補物質を適切に選択し,効率的に医薬品開発を進めるためには,マイクロドース試験を実施し,ヒトでの動態を医薬品開発の早い段階で明らかにすることがきわめて重要である.

収録刊行物

参考文献 (6)*注記

もっと見る

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ