オフィスサージャリーの適応と限界―鼻・副鼻腔領域―

  • 佐藤 公則
    佐藤クリニック耳鼻咽喉科 久留米大学医学部耳鼻咽喉科•頭頸部外科学講座

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タイトル別名
  • ダイ107カイ ニホン ジビ インコウカ ガッカイ ソウカイ シンポジウム オフィスサージャリー ノ テキオウ ト ゲンカイ ビ フクビクウ リョウイキ
  • 鼻•副鼻腔領域

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抄録

内視鏡その他の光学器械の発達,レーザーあるいはマイクロデブリッダーなどの手術医療器械の発達,これに伴う新しい手術手技の発達に伴って,鼻•副鼻腔疾患に対しても低侵襲で手術時間が短く,術後の苦痛が少ない手術が行えるようになってきた.これに伴ってオフィスサージャリー(OS)の適応と限界が拡大されてきた.<br>鼻•副鼻腔疾患に対するOSの適応と限界を決定する条件は,医療機関の条件としては(1)専門的技術に習熟した耳鼻咽喉科医,(2)医師•看護スタッフの体制,(3)医療機関の設備,(4)帰宅後のフォローアップ体制,特に術後出血がおきたときに速やかな対応がとれる体制,(5)病診連携などが挙げられる.患者の条件としては,(1)患者の状態,(2)OSに対するインフォームド•コンセント,(3)医師と患者との信頼関係などが挙げられる.<br>鼻•副鼻腔疾患のOSの適応と限界を決定する重要な条件の一つは,術後の出血にどう対応できるかである.この点から比較的侵襲が少なく,術後出血などの可能性が少ない手術がOSの適応になる.レーザーによる下鼻甲介粘膜焼灼術,非観血的鼻骨骨折整復術,鼻茸摘出術,鼻•副鼻腔手術後の補正手術,副鼻腔嚢胞開窓術などがOSの良い適応になる.さらに鼻内篩骨洞手術程度が,医師も患者も比較的安心してできる限界といえる.それ以上の手術は,同じ疾患,同じ病態でも上述した条件によりOSの適応と限界が異なる.<br>耳鼻咽喉科医がOSを含めた治療の選択肢を多く持っていれば,患者の病態,患者の要望に応じた満足度の高い治療が患者に提供できる.特に他科との境界領域疾患の治療を行う際には,耳鼻咽喉科の専門性を発揮することができる.OSの利点と欠点を考慮し,個々の患者,医師,医療機関に適したOSの適応と限界を設定し,安全なOSを行うことが大切である.

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