Ec-LPSアレイを利用した溶血性尿毒症症候群患者の大腸菌O血清群診断

  • 天野 憲一
    秋田大学バイオサイエンス教育・研究センター 秋田県健康環境センター保健衛生部
  • 八柳 潤
    秋田県健康環境センター保健衛生部
  • 齊藤 志保子
    秋田県健康環境センター保健衛生部

書誌事項

タイトル別名
  • Development of O-serogroup Serodiagnosis for Patients with Hemolytic Uremic Syndrome by Ec-LPS Array
  • Ec LPS アレイ オ リヨウ シタ ヨウケツセイ ニョウドクショウ ショウコウグン カンジャ ノ ダイチョウキン O ケッセイグン シンダン

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抄録

下痢原性大腸菌のうち日本で患者から分離報告のある大腸菌のO血清群菌を中心に58株よりLPSを抽出精製し, 溶血性尿毒症症候群 (HUS) 患者血清及び市販抗大腸菌O血清群抗血清との反応性をEc-LPSアレイを用いて検討した. Ec-LPSアレイはPVDFメンブレンに58種のLPSをドットプロットして, メンブレン上で抗原抗体反応を行い, 視覚的に診断する方法である.市販抗血清を用いると, ほとんどの場合同一のLPSとのみ反応することから, これらのLPSは抗原として使用できることが確認された. 腸管出血性大腸菌 (EHEC) が分離されなかったHUS患者6名の血清とEc-LPSアレイとの反応性を検討すると, 急性期での血清中のIgMおよびIgA抗体測定ではどのLPSとも反応しなかったが, 回復期血清中の両抗体測定では全てO157-LPSに対して反応性を示した.この結果から, 6名の患者は全てEHEC O157による感染であることが示唆された. 同時に行ったELISAやWBからも同様の結果が得られた. 一方患者血清中のIgG抗体測定においては多くのO群LPSとの反応性が見られ, 診断には用いられないことを示した. 以上のことからEc-LPSアレイはELISAやウェスタンブロットよりも時間やコスト, および手間から見て簡便な方法であるといえる.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 81 (1), 26-32, 2007

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (15)*注記

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