腰椎椎間板ヘルニアの臨床経過 : 造影MRIによる検討

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  • ヨウツイ ツイカンバン ヘルニア ノ リンショウ ケイカ ゾウエイ MRI ニ ヨル ケントウ
  • Clinical course of lumbar disc herniation-A study with Gd-enhanced MRI

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抄録

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MRIの普及にともない,腰椎椎間板ヘルニアの自然経過を容易に観察できるようになり,その自然縮小・消失例が多数報告されている。さらに造影MRIにより,自然縮小・消失がある程度予測されるようになってきた。今回,造影所見の違いに基づいた治療法選択が成立する可能性をさらに検討し,新たな知見が得られたので報告する。 対象は,2002年3月より2003年7月までの期間,外来受診した腰椎椎間板ヘルニア症例のうち造影MRIを施行した54例54椎間である。その造影所見により3 type (Type Ⅰ: ヘルニア周囲が全周性に造影,Type Ⅱ: ヘルニア周囲が一部造影,Type Ⅲ: ヘルニア周囲が造影されない)に分類し,それぞれ保存療法を約30日間施行し,その間の症状経過およびその後の治療方法,症状出現時およびその約30日後の日整会腰痛疾患治療成績判定基準(以下JOAスコア)29点のうち日常生活動作項目14点を除いた15点満点,最終経過観察時改善率を比較検討した。 症例の内訳は,保存療法45椎間,手術療法9椎間であった。各Typeにおける治療法は,TypeⅠ 17椎間中手術療法0%。TypeⅡ22椎間中手術療法4椎間18%。TypeⅢ 15椎間中手術療法5椎間33%であった。また,JOAスコアによる改善率でも,TypeⅠで他の群に対して有意な改善を認めた。 今回,一律に保存療法を約30日間施行した結果,TypeⅠ全例が手術を回避できた。この結果より,腰椎椎間板ヘルニアの造影MRIでTypeⅠと確認されたら,保存療法を約30日間施行すれば,手術療法を回避できる可能性が高いと考えられた。

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