心不全と細胞周期 Cell cycle and heart failure

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抄録

増殖能を持たない心筋細胞においては,細胞増殖のメカニズムである細胞周期は本来機能していないものと考えられていた.われわれは以前から心不全の発症メカニズムと治療法に関する研究を続けてきたが,最近の一連の研究で,心筋細胞においても細胞周期制御因子が存在し,それが心不全に関連する心筋細胞特有の機能を担っていることを見いだした.その一つは,心不全の重要な増悪因子である心筋細胞肥大に,細胞周期の制御因子が関わっていることを示唆するいくつかのデータである.われわれはCDKインヒビターのp16タンパクを発現するアデノウィルスベクターを作成し,それを培養心筋細胞に作用させてみた.するとこのアデノウィルスを作用させた細胞で,血清刺激やエンドセリン,アンジオテンシンIIなどによる心筋細胞肥大が抑制されることがわかった.このことは細胞周期制御因子が心筋細胞においては肥大の制御に関わることを示唆すると考えられた.二番目の知見は,本来増殖をしない心筋細胞の細胞周期制御因子を操作することにより心筋を再生することが出来たことである.その研究では,サイクリンD1を核移行シグナル(nuclear localizing signals=NLS)により強制的に核に移行させるアデノウィルスベクターを作成し,培養心筋細胞に作用させた結果,本来増殖能を持たない心筋細胞を増やすことに成功した.このことは自己心筋細胞自体を増やすことが可能であることを示唆しており,今後の展開によっては新しい心不全治療法としての心筋再生療法につながるものと考えられた.これらのことより,心筋細胞における細胞周期の研究の発展が,心不全の克服のために今後も重要であると思われる.<br>

収録刊行物

  • 日本薬理学雑誌 : FOLIA PHARMACOLOGICA JAPONICA  

    日本薬理学雑誌 : FOLIA PHARMACOLOGICA JAPONICA 126(6), 381-384, 2005-12-01 

    公益社団法人 日本薬理学会

参考文献:  13件

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被引用文献:  1件

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各種コード

  • NII論文ID(NAID)
    10018621671
  • NII書誌ID(NCID)
    AN00198335
  • 本文言語コード
    JPN
  • 資料種別
    REV
  • ISSN
    00155691
  • NDL 記事登録ID
    7751312
  • NDL 雑誌分類
    ZS51(科学技術--薬学)
  • NDL 請求記号
    Z19-247
  • データ提供元
    CJP書誌  CJP引用  NDL  J-STAGE 
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