虚血性神経細胞障害の基礎的解明と臨床応用への展望―神経細胞死の機序と脳保護―

  • 内野 博之
    東京医科大学八王子医療センター麻酔科
  • 黒田 泰弘
    香川大学医学部附属病院救命救急センター
  • 平林 剛
    東京医科大学八王子医療センター麻酔科
  • 石井 脩夫
    東京医科大学八王子医療センター麻酔科
  • 芝崎 太
    (財) 東京都医学研究機構東京都臨床医学総合研究所細胞生理学研究部門

書誌事項

タイトル別名
  • Basic Analysis of Ischemic Neuronal Damage and Prospects of Clinical Application-Mechanisms of Ischemic Brain Damage and Neuroprotection-
  • Basic Analysis of Ischemic Neuronal Damage and Prospects of Clinical Application—Mechanisms of Ischemic Brain Damage and Neuroprotection—

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抄録

  臨床における脳障害は非常に迅速な対応を迫られることが多い. それは, 一過性の脳虚血が時として脳神経細胞死を誘発し重篤な後遺症を残すからである. 精力的な脳科学研究にもかかわらず, 脳障害へと至る病態の進行を完全に阻止する有効な治療法の確立はなされていない. これまで, 脳障害形成には細胞内の興奮性アミノ酸であるグルタミン酸放出と, それに連動する細胞内Ca2+ 上昇が重要な役割を果たすと思われてきたが, 真の標的分子は明らかではなく基礎的メカニズムの解明が急務となる. 本稿では, 虚血性神経細胞死形成におけるカルシニューリン・イムノフィリン情報伝達系, 細胞内Ca2+, ミトコンドリアの重要性にふれた. さらに, DNAchipによる遺伝子レベルでの因子解析の結果から新規の分子標的の可能性を探ってみた. また, 麻酔科医として既存の麻酔薬と脳保護の可能性ならびに臨床での脳保護のあり方を検討した. 今後期待されることは, 脳障害のメカニズム解析を基盤とした有効な薬物の創製と脳への物質輸送システムの発見およびバイオマーカーによる特異的な脳機能モニタリングの確立である.

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被引用文献 (2)*注記

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参考文献 (102)*注記

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