農業集落排水汚泥の化学的特性と汚泥コンポストの水稲栽培での利用

抄録

農業集落排水処理施設から発生する汚泥を農耕地へ還元していくために,汚泥の化学性を明らかにするとともに,汚泥モミガラコンポスト(以下コンポストとする)の水稲栽培での利用法について検討した.1.農業集落排水汚泥のpHは5.5~7.0,肥料成分は全窒素が4.0~5.7%,全リン酸が5.2~6.4%,全加里が0.1~0.4%であった.C/N比は6.0~7.4と低く,肥料としての施用効果が期待できる.ひ素,カドミウム,水銀,ニッケル,クロムおよび鉛は,いずれも肥料取締法に定められている許容基準以下であった.また,亜鉛は264~1,651ppm,銅は111~762ppmであった.2.コンポストは,水稲基肥として化学肥料の代替が可能で,40~45%の窒素肥効率が期待できる.3.コンポストの施用により土壌中の全炭素,CEC,孔隙率等が増加する傾向を示し,汚泥そのものを利用した場合よりも地力増進や土壌物理性の改善が期待できる.4.コンポストの運用により,土壌中の全亜鉛,可給態亜鉛および可給態銅含量の増加が認められたが,全カドミウム含量はほとんど変化がなかった.また,水稲茎葉および玄米中の亜鉛,銅,カドミウム含量はいずれもほとんど変わらなかった.

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