牛の角による外傷性腹壁ヘルニア, 腸間膜損傷の1例

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  • A Case of Traumatic Abdominal Wall Hernia and Mesenteric Injury Caused by the Thrust of a Cow's Horn

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抄録

牛の角による外傷性腹壁ヘルニア, 腸間膜損傷の1例を経験した。症例は46歳の男性。飼い牛に右下腹部を角で突かれ, 背後の壁との間に挟まれた。体表面の外傷は軽微であったが腹痛が軽快しないため当院救急外来を受診した。来院時, 右下腹部に挫傷と皮下出血を認めたが, 真皮の断裂は認めなかった。腹部超音波検査にて, 肝表面, 肝腎境界, 脾周囲, 右傍結腸溝にecho free spaceを認め, 腹腔内出血と診断し緊急手術を施行した。回腸腸間膜の損傷と, 受傷部に一致して外傷性腹壁ヘルニアを認め, 止血の後縫合閉鎖した。術後経過は良好で, 12日目に退院した。牛の角のように鋭とも鈍ともいいがたい物体の衝突では, 真皮の連続性が保たれたまま皮下組織より深層の組織の断裂や臓器損傷をきたしている可能性があり, 受傷機転を十分考慮した診断, 治療が重要であると思われた。

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