特発性脾破裂の1例

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  • A CASE OF SPONTANEOUS SPLENIC RUPTURE

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抄録

慢性膵炎を背景に生じたと思われる特発性脾破裂の1例を経験したので報告する. 症例は40歳代, 男性で突然の下腹部痛を主訴に当院救急外来を受診した. 腹部CTで脾臓に多数の低吸収域と腹腔内出血を認めた他, 膵体尾部に嚢胞性病変を認めた. 脾腫瘍破裂による腹腔内出血と診断し緊急手術を施行した. 腹腔内に2,600mlの出血および凝血塊が貯留していた. 脾は腫大し下極に破裂が生じていた. 膵は肉眼的に慢性膵炎の所見で, 膵尾部の嚢胞壁を脾臓につけて脾臓を摘出した. 摘出標本および割面所見では大小多数の血腫があるのみであった. 病理組織学的所見では脾門部に強い炎症があり, 脾全体に被膜炎を呈していた. 腫瘍性病変はなかった. 外傷の既往はなく, 慢性膵炎の脾臓への波及により生じた特発性脾破裂と診断した. 脾臓摘出後敗血症を懸念すると, 可能であれば脾を温存し, 後に脾腫瘍と診断した場合, 脾臓摘出術を追加するのが望ましいと考えられた.

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