読み障害を伴わず,書字の習得障害を示した小児の1例

  • 橋本 竜作
    大阪医科大学 高次脳機能発達総合研究講座
  • 柏木 充
    大阪医科大学 高次脳機能発達総合研究講座
  • 鈴木 周平
    大阪医科大学 高次脳機能発達総合研究講座

書誌事項

タイトル別名
  • Developmental Dysgraphia without Dyslexia: A Case Study
  • Developmental dysgraphia without dyslexia: a case study (in Japanese)

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抄録

書字の習得障害を呈した学習障害児を検討した。症例は 7 歳 11 ヵ月,右利き男児。診断は ADHD と DCD。知能,口頭言語および読みの発達は正常,漢字と仮名に共通した書字の獲得に必要な能力 (視覚認知,運筆能力,構成能力) も正常であった。書字における誤反応の特徴は,漢字が不完全な形態,仮名が無反応であった。漢字に関して視覚性記憶を,仮名に関して運動覚心像を検討した。結果,漢字学習における失敗には記銘時の方略の欠如が,仮名学習における失敗には運動覚性心像あるいは音韻と運動覚心像との連合の形成不全が関与することが示唆された。それゆえ,われわれは本例の書字の習得障害には漢字と仮名で異なる障害機序が存在すると推察した。

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参考文献 (18)*注記

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