汚染土壌の直接摂取に関する健康リスク評価の導入による土地利用別の対策費用軽減効果 The effect of the human health risk assessment from direct ingestion of contaminated soil on remediation cost of land use

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抄録

 近年,工場跡地等において鉛による土壌汚染が顕在化しており,その対策費用が土地所有者にとって大きな負担となっている。現在,土壌汚染が顕在化しているのは主に地価が高い首都圏であり,土地売却益から対策費用を捻出できる事例が多い。しかしながら,土壌汚染の顕在化が今後想定される地方都市では,地価が安いため対策費用を捻出できずブラウンフィールドとなることが懸念されている。ブラウンフィールドとは,有害物質の存在(もしくはその存在の可能性)によって,拡張・再開発・再利用が困難になっている土地のことである。1980年代からブラウンフィールド問題に取組んでいる欧米では,サイト毎のリスク評価の実施や土地利用に応じた管理目標値の適用といった柔軟な汚染土壌管理の手法を取り入れている。一方,日本では汚染土壌の直接摂取によるヒトの健康リスクは,一律の基準値である土壌含有量基準(鉛は150mg/kg以下)により判断されている。しかし土壌含有量基準の設定においては,小児は感受性が高いことを考慮していない点,および一般環境からの鉛の摂取量をTDI(一日耐容摂取量)の90%としている点において,日本の鉛汚染土壌に起因するヒの健康リスクを十分に評価できていない。本研究では,現行の鉛の土壌含有量基準の設定におけるリスク評価の問題への解決策として,汚染土壌以外の経路からの鉛摂取量を算出し,年齢群別,土地利用別にリスク評価を実施し,汚染土壌の直接摂取に係る管理目標値を算定した。また,管理目標値を鉛汚染土壌が確認された10サイトに適用し,対策費用削減効果を検討した。その結果,汚染土壌の直接摂取に係る土地利用別の管理目標値は,工・商用地で最大値の5,100mg/kgとなり,土壌含有量基準よりも大きな値となった。また,対策費用減少率は,最も削減効果が大きい工・商用地で96%であり,土地利用の種類により対策費用が大幅に削減可能であることが確認された。これらの結果は,土地利用を考慮したヒトの健康リスク評価に基づく汚染土壌の直接摂取に係る管理目標値の導入が,日本においてより柔軟な汚染土壌管理を可能にすることを示唆している。なお,本リスク評価では,土壌溶出量基準により規制されている土壌から地下水への溶出に起因する地下水飲用等の暴露経路は考慮していない。土壌含有量が管理目標値に適合した場合においても,土壌溶出量基準を超過する溶出量が確認された場合は,別途対応が必要である。

Recently, the number of lead contaminated site is increasing in Japan, and the countermeasure costs of contaminated soil are burden to landowner . Now, the human health risk by direct ingestion of the lead contaminated soil is judged by which lead content in soil exceed soil content standard for lead (SCSL) (150mg/kg) or not . SCSL which established by Soil Contamination Countermeasures Law is a uniformly value regardless of land use. But the amount of lead ingestion via contaminated soil varies with land use, so human health risk varies with land use, too. In this research, the problem of way to set up SCSL is arranged, and the management target values (MTV) for several land use are computed by the detailed risk assessment and the countermeasure cost reduction rate by application of MTV is evaluated . Consequently, the maximum MTV is 5, 100mg/kg by an industrial use which is 34 times as SCSL. The cost reduction rate measured by MTV is 96% by an industrial use . In conclusion, it is possible that the greater part of countermeasure costs cut down byintroducing MTV, if land use industrial purpose. However, we need to be careful that we ignored the groundwater drinking pathway in the risk assessment.

収録刊行物

  • 環境科学会誌 = Environmental science  

    環境科学会誌 = Environmental science 20(1), 29-45, 2007-01-31 

    SOCIETY OF ENVIRONMENTAL SCIENCE, JAPAN

参考文献:  39件

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被引用文献:  1件

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各種コード

  • NII論文ID(NAID)
    10018720973
  • NII書誌ID(NCID)
    AN10165252
  • 本文言語コード
    JPN
  • 資料種別
    ART
  • ISSN
    09150048
  • NDL 記事登録ID
    8679737
  • NDL 雑誌分類
    ZN5(科学技術--建設工学・建設業--都市工学・衛生工学)
  • NDL 請求記号
    Z16-1836
  • データ提供元
    CJP書誌  CJP引用  NDL  J-STAGE 
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