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- タイトル別名
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- PERIOPERATIVE BLOOD TRANSFUSION IN SURGERY FOR ESOPHAGEAL CANCER-EXPERIENCE IN A COUNTRY HOSPITAL
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抄録
周術期の同種血による輸血療法の実態, およびその適正化での問題点を検討した. 対象 : 1993年から2002年までの食道癌切除症例57例のうち自己血症例5例を除く52例を対象とした. 病期は0期 (13症例, 25%), 1期 (11症例, 21%), 2期 (12症例, 23%), 3期 (9症例, 17%), 4期 (7症例, 14%) であった. 方法 : 周術期での輸血状況, および血液, 生化学検査値の変化を検討した. 血液製剤は照射赤血球 (Ir-RC-MAP, 日本赤十字社), 新鮮凍結血漿 (FFP, 日本赤十字社), 加熱人血漿蛋白 (Plasma protein fraction, PPF) である. 結果 : 術中赤血球輸血は12例 (20%) に実施され, 出血量は平均1,187ml, 手術時間は平均452分であった. 術中無輸血例では出血量609ml, 手術時間426分であり, 手術時間には差が無かったが, 出血量は有意に輸血群で多かった. 術後は術中無輸血症例40例のうち17例 (43%) に赤血球が輸血された. 術中赤血球輸血例12例中11例 (92%) に追加輸血された. 多変量解析では, 赤血球輸血の総投与量に関与する独立した因子は術中の出血量, および術中の水分バランスだった. 術中輸血には麻酔中の血圧低下も関与し, 少量の出血でも輸血を施行された. FFPは出血量に相関したが, PPFは相関しなかった. 術中のアルブミン製剤の投与は無かった. 術後Hb値は水の出納が関与し, 水分バランスとHb値に負の相関が認められた. 体液としての血清Na濃度は術前値142mEq/l から術直後に135mEq/l と約5%の減少を示した. 術後合併症の肺炎, 縫合不全は, 術中・術後無輸血群では0%, 術後輸血群では, 肺炎が7% (P=0.198), 縫合不全は28%に発生した (P<0.001). 結論 : 食道癌手術における赤血球輸血は必要量以上に実施される傾向にあった. 今後, 適正な輸血量, また適応の検討が課題である.
収録刊行物
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- 日本輸血細胞治療学会誌
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日本輸血細胞治療学会誌 53 (1), 17-23, 2007
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680250229760
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- NII論文ID
- 10018733072
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- NII書誌ID
- AA12159645
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- ISSN
- 18830625
- 18813011
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- Crossref
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可