ヘモグロビン小胞体 (HbV)-リコンビナントアルブミン分散溶液による40%交換輸血 : ラット脾臓内HbV代謝と造血に関する2週間の観察

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タイトル別名
  • ACUTE 40 PERCENT EXCHANGE-TRANSFUSION WITH HEMOGLOBIN-VESICLES (HBV) SUSPENDED IN RECOMBINANT HUMAN SERUM ALBUMIN SOLUTION: DEGRADATION OF HBV AND ERYTHROPOIESIS IN A RAT SPLEEN FOR 2 WEEKS

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抄録

(背景) 輸血代替として開発されたヘモグロビン小胞体 (HbV, 粒径251±81nm) について, 動物投与試験によりその酸素運搬機能が明らかにされてきた. しかし投与後の中長期的な回復過程, 特に細網内皮系におけるHbVの分解と造血については十分な検討が為されていなかった. (方法) Wistar系ラット (♂, 60匹) を用い, HbVを5g/dL濃度のリコンビナントアルブミン溶液 (rHSA) に分散させた溶液 (HbV/rHSA), ラット保存赤血球をrHSAに分散させた溶液 (sRBC/rHSA), 或はrHSA溶液単独で, 循環血液量の40%を急速交換した. その後最長14日間の血液学的, 血液生化学的解析, および組織病理学的検討を実施した. (結果) HbV/rHSA群とrHSA群では, 血液交換後に低下したヘマトクリット値 (Hct, 約26%) が, 7日後には交換前の値 (43%) にまで回復した. 血中エリスロポエチン濃度は, 全群で上昇した. 特にrHSA群で1日後に最も高い値を示し (321±123IU/L), 貧血状態を反映したと考えられた (HbV/rHSA, 153±22 ; sRBC/rHSA, 63±7 ; baseline, 21±3). また, 同時に全群で脾臓肥大を認めた (HbV/rHSA>rHSA>sRBC/rHSA). 組織病理学的観察から, 脾臓に捕捉されたHbVは14日以内に完全に消失した. しかし, ヘモジデリン沈着がHbV/rHSA群およびsRBC/rHSA群に認められた. また, rHSA群とHbV/rHSA群の赤脾髄に多量の赤芽球が存在した. (結論) 40%交換輸血において, 脆弱な赤血球が細網内皮系で捕捉分解される生理的機序と同様の経路を経て, HbVが捕捉代謝される過程が予想された. また, 造血機能の亢進によりHctが7日以内に完全に支障無く回復することを確認した.

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参考文献 (61)*注記

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