犬の大動脈硬化症の形態病理発生に関する免疫組織化学的検討

  • 中尾 周
    東京農工大学農学部獣医臨床腫瘍学研究室
  • 小林 正行
    東京農工大学農学部獣医臨床腫瘍学研究室
  • 町田 登
    東京農工大学農学部獣医臨床腫瘍学研究室

書誌事項

タイトル別名
  • イヌ ノ ダイドウミャク コウカショウ ノ ケイタイ ビョウリ ハッセイ ニ カンスル メンエキ ソシキ カガクテキ ケントウ

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抄録

日常の病理解剖時に採取した22例の犬の腹部大動脈を用い,通常の組織学的検索に免疫組織化学的手法を加えることにより,犬の大動脈に発生する硬化性病変の本態ならびにその形態病理発生について検討した。その結果,大動脈の硬化性病変は内膜に主座しており,平滑筋細胞および/あるいは膠原線維の増殖に伴う内膜の顕著な肥厚を特徴としていることが明らかになった。内膜肥厚病変は,その構成成分の量的な割合から,平滑筋細胞主体の内膜肥厚(細胞性内膜肥厚),平滑筋細胞と膠原線維の両者からなる内膜肥厚(細胞・線維性内膜肥厚),膠原線維主体の内膜肥厚(線維性内膜肥厚)の三つに大別された。また,それぞれの病変が好発していた犬の年齢層を勘案すると,これら三つのタイプの内膜病変は,平滑筋細胞の遊走・侵入ならびに増殖によって始まった硬化性変化が,最終的に膠原線維主体の線維性瘢痕組織形成に帰着するまでの一連の過程を表現しているものであることが明らかになった。また,その形態病理発生には,platelet derived growth factor をはじめとする各種成長因子ならびにアポトーシスが密接にかかわっている可能性が示唆された。

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参考文献 (23)*注記

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