L-システイン代謝と硫化水素(H_2S) : インスリン分泌を抑制するシグナリング H_2S production by L-cysteine metabolism inhibits insulin release

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抄録

膵B細胞からのインスリン分泌における大きな特徴のひとつとして,多様な栄養物質によるインスリン分泌の調節をあげることができる.私たちは,様々な分泌刺激による膵B細胞からのインスリン分泌が,含硫アミノ酸であるL-システインによって強力に抑えられることを見いだした(Kaneko, et al. Diabetes. 2006).L-システインが膵B細胞に与えるインスリン分泌抑制・グルコース代謝阻害・グルコースによる細胞内Ca<sup>2+</sup>オシレーション抑制などの作用は,硫化水素(H<sub>2</sub>S)ドナーであるNaHSによっても再現される.H<sub>2</sub>Sは,古くから自然界に存在する有毒ガスとして知られてきたが,最近の研究により様々な細胞においてシグナル伝達をおこなう可能性が示されており,一酸化窒素(NO)や一酸化炭素(CO)に次ぐ第3のガス性シグナル伝達分子と目されている.私たちは,L-システインが代謝されて生じたH<sub>2</sub>Sが,膵B細胞でインスリン分泌抑制以外の細胞機能をも調節しているのではないか,と考えている.L-システインなどの含硫アミノ酸の血中レベルは,糖尿病や動脈硬化など,一部の生活習慣病で異常値を示すことが臨床研究で明らかにされている.これらの結果は,生活習慣病で見られるインスリン分泌障害が,L-システインやその代謝産物であるH<sub>2</sub>Sによる可能性を示唆している.この総説では,シグナル分子としてのH<sub>2</sub>Sに関するこれまでの研究を振り返るとともに,膵B細胞におけるL-システインおよびH<sub>2</sub>Sによるインスリン分泌抑制が持つ意義について,私たちの考えるところを述べた. <br>

収録刊行物

  • 日本薬理学雑誌 : FOLIA PHARMACOLOGICA JAPONICA  

    日本薬理学雑誌 : FOLIA PHARMACOLOGICA JAPONICA 128(4), 214-218, 2006-10-01 

    公益社団法人 日本薬理学会

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被引用文献:  1件

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各種コード

  • NII論文ID(NAID)
    10018811350
  • NII書誌ID(NCID)
    AN00198335
  • 本文言語コード
    JPN
  • 資料種別
    REV
  • ISSN
    00155691
  • NDL 記事登録ID
    8528029
  • NDL 雑誌分類
    ZS51(科学技術--薬学)
  • NDL 請求記号
    Z19-247
  • データ提供元
    CJP書誌  CJP引用  NDL  J-STAGE 
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