生活習慣病の治療戦略  6  PPARγリガンドを用いた非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の治療戦略

  • 米田 正人
    横浜市立大学大学院医学研究科 分子消化管内科学
  • 藤田 浩司
    横浜市立大学大学院医学研究科 分子消化管内科学
  • 中島 淳
    横浜市立大学大学院医学研究科 分子消化管内科学
  • 和田 孝一郎
    大阪大学大学院歯学研究科 薬理学

書誌事項

タイトル別名
  • PPARγ ligand pioglitazone as a therapeutic strategy in nonalcoholic steatohepatitis (NASH)
  • PPARγリガンドを用いた非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の治療戦略
  • PPAR ガンマ リガンド オ モチイタ ヒアルコールセイ シボウセイ カンエン NASH ノ チリョウ センリャク

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抄録

非飲酒者でも脂肪肝に肝実質の壊死,炎症,線維化所見が加わった非アルコール性脂肪性肝炎(non-alcoholic steatohepatitis:NASH)に対する関心が我が国でも急速に高まっている.NASHの治療は栄養療法の徹底が重要であり,難治症例には薬物療法が検討される.我々は当院に通院するNASH患者に施行した栄養指導,またピオグリタゾンを用いた薬物療法の有効性を検討した.【方法】NASH患者に管理栄養士の指導の下,標準体重×25 kcal/kg/日,タンパク質1.0-1.5 g/標準体重/日,脂肪量20%以下の栄養指導を行った.また栄養療法が奏功しない症例に薬物療法としてピオグリタゾン15 mg/日の投与を行った.また治療前後で肝臓と脾臓のCT値比率(L/S比)および臨床データの比較検討を行った.約6割の症例は栄養療法のみで臨床データの改善を認めた.L/S比は前0.961後1.190(P=0.0002).フェリチン値と高感度CRPの栄養指導前後の変化率Δフェリチン値とΔhs-CRPはΔL/Sと強い相関を示し,治療効果判定に有効であることが示唆された.また栄養療法に難治した20症例に対しピオグリタゾンの投与が行われたが,脂肪肝の著明な改善と肝機能の改善を得られた.また薬物による副作用は本件等では認められなかった.NASHやNAFLDの治療は生活習慣の改善や肥満の解消が原則である.しかし,体重コントロールに苦慮することや,肥満を伴わないNASHが存在することより減量指導のみでは不十分であり,ピオグリタゾンはNASHの治療に有用であることが示唆された.<br>

収録刊行物

  • 日本薬理学雑誌

    日本薬理学雑誌 128 (4), 235-238, 2006

    公益社団法人 日本薬理学会

参考文献 (17)*注記

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