隆起型大腸上皮性腫瘍におけるk‐ras変異と病理組織形態に関する研究

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  • Correlation between the Incidence of K-ras Mutation and Histopathological Characteristics in Polypoid Colorectal Epithelial Tumors

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抄録

大腸癌の組織発生では, 腺腫・癌腫連鎖説およびde novo 発癌説の2説が認知され, 組織形態の変化に関与する種々の遺伝子変異が知られている. K-ras 変異も重要な因子であるが, これにともなう組織形態変化の詳細については不明な点が多い. 本研究は, K-ras 変異と腺管構造の変化との相関を明確にすることを目的とし, 最大径10mm以下の大腸隆起型上皮性腫瘍を構成する異型腺管の形態的特徴とそれらのK-ras 変異について検討した. この結果, 小規模隆起性病変が絨毛状腺管領域単独で構成されることが希有であること, K-ras 変異が管状腺管領域に比して絨毛状腺管領域で高頻度に生じていること, ならびに管状腺管領域でも同一病変内に絨毛状腺管領域を有する場合でより高頻度にK-ras 変異が生じていることを明らかにした. 以上より, 管状腺管から絨毛状腺管への表現形質の転換にK-ras 変異が深く関与すると同時に, 表現形質の転換に先行して, K-ras 変異が生ずる可能性が示唆された.

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