Klotho マウス研究の進歩 Recent progress in Klotho research

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抄録

クロトー遺伝子は老化類似の表現型を呈する突然変異マウスの原因遺伝子として同定された. クロトー遺伝子は分子量約130kDの一回膜貫通蛋白をコードし, 主に腎臓の遠位曲尿細管と脳の脈絡叢に発現している. クロトー遺伝子欠損マウスは成長障害, 活動性の低下, 不妊, 胸腺・皮膚・骨格筋の萎縮, 動脈硬化, 肺気腫, 異所性石灰化, 骨粗鬆症など, 全身に多彩な老化類似の病態を発症して早期に死亡する. 逆にクロトー遺伝子を過剰発現するトランスジェニックマウスでは寿命が延長する. すなわち, クロトー遺伝子は老化抑制遺伝子として機能している可能性がある. クロトー過剰発現マウスは軽度のインスリン抵抗性と酸化ストレスに対する耐性を示す. これらは種を超えて保存されてきた長生きのメカニズムであり, クロトーによる寿命延長のメカニズムに関与している可能性が考えられた. 最近, FGF23欠損マウスがクロトー欠損マウスと良く似た多彩な老化類似の表現型を呈することが報告された. このことは, FGF23とクロトーが同じシグナル伝達系を使っている可能性を示唆する. FGF23は線維芽細胞成長因子 (FGF) ファミリーに属するホルモンで, 腎近位尿細管に作用してリンの再吸収を抑制する. 実際, クロトー欠損マウスもFGF23欠損マウスと同様, 高リン血症を呈する. 我々は, クロトー蛋白がFGF受容体と結合してFGF23に対する co-receptor として機能することを明らかにした. さらに, FGF23欠損マウスとクロトー欠損マウスに認められる老化類似の表現型の多くが, 高ビタミンD血症を是正することで改善することも報告された. これらのことは, クロトー蛋白が, インスリンシグナルや酸化ストレスの制御ばかりでなく, FGFシグナルやリン, ビタミンD代謝の調節を介して個体老化を制御するという新しい概念を提示している.

収録刊行物

  • 日本老年医学会雑誌  

    日本老年医学会雑誌 43(6), 674-681, 2006-11-25 

    The Japan Geriatrics Society

参考文献:  24件

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被引用文献:  1件

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各種コード

  • NII論文ID(NAID)
    10018813359
  • NII書誌ID(NCID)
    AN00199010
  • 本文言語コード
    JPN
  • 資料種別
    REV
  • ISSN
    03009173
  • NDL 記事登録ID
    8615214
  • NDL 雑誌分類
    ZS21(科学技術--医学--内科学)
  • NDL 請求記号
    Z19-25
  • データ提供元
    CJP書誌  CJP引用  NDL  J-STAGE 
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