高齢者潰瘍性大腸炎の特徴と治療上の問題点

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タイトル別名
  • Characteristic of elderly patients with ulcerative colitis and therapeutic issue
  • コウレイシャ カイヨウセイ ダイチョウエン ノ トクチョウ ト チリョウ ジョウ ノ モンダイテン

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抄録

目的: 潰瘍性大腸炎 (UC) は20歳代から30歳代の若年者に好発する原因不明の慢性炎症性腸疾患であるが, 高齢者UC患者数は罹患期間の延長と高齢発症の増加に伴い, 以前より増えている. 若年者と高齢者では発症要因が異なる可能性もあり, 高齢者UCの病態と治療の特徴を明らかにすることは重要である. 方法: 今回われわれは当科外来通院中の260例UC患者のうち, 50歳~64歳23例と65歳以上の9例を対象として, 罹患年数, 初診時ならび通院中の重症, 度罹患範囲, 治療内容, 併存疾患について, 高齢者UC患者の特徴と治療上の問題点について検討した. 結果: 通院中UC患者の年齢分布ならびに発症年齢の分布は若年者をピークとして, 年齢とともになだらかな減少を示し, 高齢者に第二のピークはみられなかった. 高齢者UC患者では重症度は中等症が最も多く, また罹患範囲も左側大腸炎型と全大腸炎型が大半を占め, 軽症が多いという特徴はみられなかった. 治療も重症度に沿って行われ, 効果も若年者と同様に見られた. ただし, 腸管外合併症以外にも多くの併存疾患がみられ, とくにステロイド投与は慎重を要する症例の割合が増加した. 結論: 高齢者UC患者は以前の報告で指摘された特徴はなく, 最近の報告と同加様に若年者と同様の重症度や病型分布を示した. したがって, 年齢に関係なく治療指針に則った内科的治療を試みれば良いと思われるが, 高齢者では他の併存疾患の発症に注意すべきである.

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