慢性肉芽腫症研究の新展開

  • 布井 博幸
    宮崎大学医学部生殖発達医学講座小児科学分野

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  • Two breakthroughs in CGD studies

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抄録

  慢性肉芽腫症の活性酸素産生異常について,これまで,活性酸素を生成するNADPHオキシダーゼが欠損していること,その酵素は食細胞膜のgp91phox, p22phoxと細胞質のp67phox, p47phox, p40phox, racp21から構成され,刺激により細胞膜で会合し,活性化されることが明らかにされた.この十年で,以下の2つの大きな発展があった.<br>   一つは2000年に入ってから,この酵素の本体であるgp91phoxのホモログであるNOXファミリーや,p67phox, p47phoxホモログも発見されたことである.今後種々の臓器でこの酵素群が活性酸素産生制御に関わり,各臓器の生理作用への影響が検討されることになる.<br>   もう一つは,慢性肉芽腫症の根治療法として骨髄移植が1990年代から開始され,移植技術の進歩と相まって,骨髄非破壊的移植法が用いられ移植成績が向上していることと,これまで期待されていた遺伝子治療の成功が治療前処置の導入により2006年に報告がされたことである.この成功により,慢性肉芽腫症治療法のさらには遺伝性疾患の治療選択を広げようとしている.<br>

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