青年期における境界例心性と養育態度の関連について The Influence of Parents' Rearing Styles on the Sense of Borderline in Adolescents

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著者

    • 田村 和子 TAMURA Kazuko
    • 東京学芸大学大学院連合学校教育学研究科 The United Graduate School of Education, Tokyo Gakugei Univ.
    • 井上 果子 INOUE Kako
    • 横浜国立大学大学院 教育学研究科学校教育臨床専攻 Graduate School of Education, Yokohama National Univ.

抄録

本研究では, 従来青年期心性の特徴として指摘されてきた複数の視点に加えて, 対人関係における葛藤的側面といった視点を導入し, 「境界例心性」として位置づけた。質問紙調査を通じて, 青年期における境界例心性の構成要素を見いだし, 各成分間の関係を図示した。さらに境界例心性に与える両親の養育態度の影響を検討した。<BR>予備調査では, 青年期における境界例心性の全体像を把握するために, 境界例の診断基準に基づいて独自に作成した質問項目を用いて大学生を対象に調査を行った。その結果, 青年期における境界例心性は, 感情・衝動コントロールのできなさや非現実感よりも, 対人関係における敏感さや孤独感, 不安定な自己像や抑うつ感, 自我同一性の欠如によって構成されていることが示された。本調査では, 大学生・専門学校生を対象に調査を行い, 予備調査で明らかとなった境界例心性の側面をより詳細に検討することを試みた。対人関係における敏感さや葛藤的な感情については, 予備調査で使用した質問項目を再構成し, 独自に尺度を作成し, 「対人関係における境界例心性尺度」と命名した。抑うつ感と自我同一性に関しては既存の尺度を用いた。これら3尺度間の関連を検討した結果, 青年に内在化された境界例心性の構成要素が同定されるとともに, 発達の一側面としての特徴が明らかになった。また, その構成成分から, 青年期における境界例心性と, 精神障害としての境界例との共通点と異なる点が示唆された。さらに青年期の発達過程における内的葛藤状況が, 他者との関係の中の揺れとして示される点が, 青年期独自の境界例心性の特徴として捉えられた。<BR>両親の養育態度との関連を通して, 性別を問わず, 特に心理社会的同一性の確立に与える両親の養育態度の重要性, ならびに自己・他者・社会に対する一貫した自己像の確立に与える母親養育態度の重要性が示唆された。また青年期の女性における父親の養育態度の影響力の強さが明らかとなった。

収録刊行物

  • こころの健康 : 日本精神衛生学会誌  

    こころの健康 : 日本精神衛生学会誌 20(2), 73-87, 2005-12-10 

    THE JAPANESE ASSOCIATION FOR MENTAL HEALTH

参考文献:  36件

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