スクールカウンセラーの活動内容に対する保護者のニーズ  私立女子中高等学校2校による結果報告

  • 中西 三春
    東京大学大学院医学系研究科精神保健学教室
  • 森 俊夫
    東京大学大学院医学系研究科精神保健学教室

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タイトル別名
  • 私立女子中高等学校2校による結果報告

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抄録

日本において, スクールカウンセラーに対する保護者のニーズを社会科学的に調査した研究はほとんどない。本研究は保護者用包括的ニーズ評価尺度CAN-SCS (P-version) を用いて, スクールカウンセラーの活動内容に対する保護者のニーズを明らかにする目的で行われた。都内の私立女子中高等学校A校とB校の2校から調査の同意が得られ, 同校の保護者を対象として質問紙調査を行った。どちらの学校も2000年度4月よりスクールカウンセラーが配置された。回答率はA校が67.9%(679/1000), B校が66.2%(789/1192) であった。質問紙の中でスクールカウンセラーの活動内容33項目を (1) 生徒に対する援助, (2) 教職員に対する援助, (3) 保護者に対する援助, および (4) 地域や外部機関との関わりに分けて示し, 保護者はそれぞれの活動内容について必要性の程度を評価した。本研究の結果, スクールカウンセラーの活動内容の多くが保護者に必要とされていた。保護者が求める活動内容は個別相談に留まらず, 教職員集団に対する援助や外部機関との連絡・連携といった活動に対しても一定のニーズが示された。スクールカウンセラーに多くの活動内容を求める保護者は, スクールカウンセラーに対する関心が高かった。スクールカウンセラーが保護者のニーズに対応した活動を行い保護者の関心を広げることで, 活動内容に対する保護者のニーズが広がることが示唆された。将来の研究の方向性として, 対象を広げ検討すること, スクールカウンセラーの活動を経た保護者のニーズの変化を明らかにすることが望まれる。

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