局所多汗症に対するボツリヌス菌毒素を用いた補助療法

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タイトル別名
  • Adjuvant Therapy with Botulinum Toxin Type A for Localized Hyperhidrosis

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抄録

局所多汗症に対してボツリヌス菌毒素製剤 (BTX-A) を補助療法として用いることによって, 患者のQOL (quality of life) を高めることができた5例を経験したので報告した。症例1 : 24歳の女性。掌蹠・腋窩多汗症のために右手と右腋窩に対しての胸腔鏡下交感神経節遮断術 (ETS) を行い, 右手の効果は良好なるも代償性発汗が著明であったため, 対側多汗症治療として左手・左腋窩にBTX-A注入を行った。代償性発汗を来すことなくVAS (visual analogue scale) にて100から10への改善を認めた。症例2 : 31歳の女性。掌蹠・腋窩の多汗症治療としてETSを受けたが, 腋窩での効果が不十分であったため, BTX-A注入にて自覚症状は1/10に軽減した。症例3 : 33歳の男性。足底の多汗症と足臭, pitted keratolysisを認め, 腰部交感神経ブロックを受ける前にBTX-A試行を目的に来院。BTX-A注入にて一過性ではあるものの発汗の減少 (VAS : 100 → 31), 足臭とpitted keratolysisは消失した。症例4 : 39歳の女性。腋窩多汗症に対して吸引法での手術を受けた。しかし夏の暑い時期の発汗が十分には抑制されなかった。そのため3年前から, この時期にあわせてBTX-A注入することによってVASは100から10~20へ軽減している。症例5 : 30歳の女性。腋臭症と腋窩多汗症のために翻転剪除法での手術を受けた。暑い時期の発汗のさらなる抑制を得るためにBTX-A注入を行い, 満足できる結果が得られた。

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 66 (1), 53-59, 2004

    日本皮膚科学会西部支部

参考文献 (16)*注記

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